今後の成長につなげる取り組みを積極的に推進しています
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実
日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。
11月10日に公表しました2023年度第3四半期決算、並びに、経営戦略の進捗をご報告いたします。
第3四半期決算
2023年1-9月期は、売上高2,636億円(前年比+417億円)、事業利益※129億円(前年比+229億円)、営業利益100億円(前年比+141億円)、当期利益45億円(前年比+91億円)となりました。夏の商盛期以降も外食需要の回復は堅調で、全社の収益構造改革も順調に進み、事業利益と営業利益はともに計画を上回る水準で進捗しています。
※事業利益は売上高から売上原価および販売費及び一般管理費を除いた金額
インフレと収益改善の状況
食材価格・エネルギーコスト・人件費等のインフレにより、1-9月期は前年対比112億円のコスト増の影響を受けています。
食材価格高騰の打ち返しとして、部門横断の原価低減プロジェクトを展開し、大量購買や長期契約による調達価格のコントロール、外注品の内製化や製造工程の見直し、レシピの見直しなどに取り組んでいます。年間削減目標30億円に対して9月末時点で既に34.7億円の実績を上げており、継続するインフレに対応すべく、追加目標を設定して取り組んでいます。
また、店舗の収益構造改革では、DX推進による生産性向上と営業経費の削減を進め、第3四半期累計でそれぞれ20億円と4億円の改善を実現しました。
さらに、深夜営業時間の延長、増加するインバウンド需要の獲得、宅配受付時間の拡大を実施し、約53億円の売上高の積み増しを見込んでいます。
これらの取り組みによって、収益構造は着実に強化されています。
今後の成長に向けた取り組み
来期以降の成長につなげるための様々な施策や実験も積極的に展開しています。
ストアポートフォリオの最適化
アフターコロナの時代に対応するべく、全国3,000店舗のストアポートフォリオの戦略的な見直しを行っています。収益回復が困難な店舗に対して、最適なブランドへの転換によって、当該店舗の売上増と自社カニバリの解消が実現しエリア全体の収益を引き上げる効果を確認できています。
直近の事例として、青森県八戸エリアに2店舗あるガストの1店舗をしゃぶ葉に転換しました。結果、しゃぶ葉に転換した店舗の売上は142%増となり、近隣ガストの売上も22%増加しました。
蓄積された成功パターンの学びや現地調査とデータ分析を駆使して、今後も効果的な業態転換を実施し、売上成長につなげていきます。
リードサイン(誘導看板)・IN看板(駐車場入口看板)による視認性の向上
店舗のリモデル展開する中で、店舗の視認性と売上効果に高い相関があることが確認できました。
リードサインを適切に設置することで、売上高が平均2%増加します。
ガストではコロナ禍を機にテイクアウトの需要増加を見込み、から好しの商品を販売しており、認知を広げるため、ガストの駐車場の看板に、から好しのロゴも大きく表示しています。コロナが終息し、から好しの認知も進んだことから、から好しのロゴを駐車場のIN表示に変更することで、約1.5%の売上増加を確認できました。
これらの検証結果を受け、来期にかけて、リードサインの設置を約500店、IN看板の変更を約1,000店規模で迅速に展開し、売上効果を獲得していく計画です。
メニュー戦略
ガスト、バーミヤン、ジョナサンなどの主要ブランドにおいて、10月~12月にかけて大幅なメニュー改定を実施します。お得なセットメニューの導入、小皿メニューの充実、ボリュームメニューを強化することで、コスパの良さを訴求し、客数増加を図ります。
また、しゃぶ葉、むさしの森珈琲、ラ・オハナなど、カジュアルダイニングブランドでは、シーズナルメニューやアニバーサリーメニュー・サービスを充実させることで外食する楽しさの演出や魅力度を引き上げ、客単価の向上を目指します。
「コストパフォーマンス」と「外食ならではの特別感」それぞれの価値をお客様の利用動機に応じて戦略的に訴求し、今後の売上成長につなげていきたい考えです。
DXのさらなる推進
DXへの積極的な投資も継続しています。従来の有人レジをセルフレジ化する開発を進め、10月より導入を開始しました。導入店では8割以上のお客様にセルフの会計をご利用いただいており、従業員の生産性向上にも貢献しています。セルフレジ化は2024年上期に全店に拡大する計画です。
宅配事業においては、自社で受注した注文を宅配代行のドライバーが配達するシステムを開発中です。配達員コストの負担が大きい店舗の収益改善と、現在宅配を実施していない店舗の新たな宅配売上の創出につなげていきます。
QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)向上・トレーニングへの投資
全国3,000店舗のテーブルサービスレストランの運営を基幹事業とする当社にとって、各店舗のサービス品質の維持・向上は永続的な課題です。
そのための取り組みとして、トレーニングセンターを全国に4か所開設し研修体制を強化しています。また、「感じのよい勉強会」と称したオンラインの研修会を今期から定期的に開催しています。これまでにのべ2.7万人の店舗従業員が参加し、QSC向上のための知識や技術のスキルアップに活用しています。
外国人の採用と働きやすい環境の整備も推進しています。外国人の採用サイトを「やさしい日本語」へ表記の改修、16か国語に対応したトレーニングツールの導入や、外国人トレーナーを育成し前述のトレーニングセンターで外国人財の集合研修を開催するなど、様々な取り組み行っています。
外国人を含め、多様な人財の教育機会と働きやすい環境づくりを推進し、人的資本への投資を強化していきます。
ESGの推進と外部評価の向上
当社はESGを経営戦略の一部として位置付け、積極的に推進しています。
脱炭素の取り組みとして、CO2排出実質ゼロのガスト店舗を8月に東京都東村山市にオープンしました。また、TCFD気候関連リスクと機会がもたらす財務影響を算出し、当社のホームページにこれらの情報を公開しています。また、持ち帰り用カトラリー売上の一部を森林整備と緑化推進に活用される「緑の募金」 に四半期ごと寄付しております。
これまでの脱炭素に向けた一連の取り組みが評価され、日経GX脱炭素経営ランキング「目標設定部門」でAAA評価を獲得しました。
また、当社は国内外での食材調達において「CSR調達」を推進する方針を掲げ、取引先を含めた包括的なチェック体制を整備しており、外食業界で初となる持続可能な調達の国際規格「ISO20400」を取得しました。
ESGの取り組みは、持続可能な成長に向けた重要な戦略として、また、持続可能な社会の実現に貢献するため、継続して推進していきます。
ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2023年11月10日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実
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