既存店成長

既存店成長

マーケットの変化に合わせた業態転換や店舗リモデルを推進

売上高成長は年平均3~4%

原材料価格が高騰し社会情勢も不透明な中、従来のビジネスモデルでは収益がでない外部環境が継続すると想定しています。当社は垂直サプライチェーンの強みを活かした戦略的な原価低減を実現しながら、さらなる「既存店の売上成長」に重点をおいています。マーケットの変化に合わせた業態転換や店舗リモデルの推進、戦略的な価格戦略や販促を実施する他、テーブルサービスレストランのオペレーション改革を追求し、売上・収益力を高めていきます。

原価低減(インフレ打ち返し策)の2024年実績

原材料価格高騰の状況

すかいらーくグループは、原材料価格の高騰に対し、全社横断の原価低減プロジェクトにて、各工程で原価低減を図っています。

改革レベル

レベル1   購買改革
  • 規格緩和・契約条件変更を伴う価格交渉
  • 産地(国)変更、またはお取引先の分散
  • 大量購買・長期契約で抑制
レベル2    生産物流改革
  • 製造作業改善
  • 物流効率改善
  • 内製拡大・自動化
  • 食材モジュールの推進
レベル3・4   メニュー改善
  • メニューセグメントで効率化
  • 価格の最適化による粗利改善
  • レシピ・食材の見直し
  • 店舗の食材ロス削減

既存店成長 1

業態転換

エリア収益の最大化を図ることが目標
2025年はしゃぶ葉と資さんうどんを柱に進める方針


すかいらーくグループでは、単に1店の収益改善を狙う業態転換ではなく、エリアに配置するグループ店舗におよぼす影響も算出し、エリア収益の最大化を図る業態転換に強みを持っています。
2024年は64店の業態転換を実施し、約149.6%の売上効果と6.1%のカニバリ解消効果がありました。しゃぶ葉や、2024年10月にM&Aした資さんうどんへの転換を強化し、各地域でのストアポートフォリオの最適化を進めています。

2024年転換実績

区分 実施店舗数 24年効果
業態転換 64店 売上伸び率:149.6%
カニバリ解消効果:6.1%

2025年転換方針

収益力が最も高いしゃぶ葉や、全国に出店の呼び声の高い資さんうどんを柱に業態転換を進めていく方針です。

エリア収益最大化事例

店舗改装(リモデル)

時代のニーズに合わせた改修で店舗視認性を強化
2025年は年間約300店の店舗改装を想定


すかいらーくグループでは、各ブランドで時代のニーズに合わせたデザインの改修や店舗視認性を高めた外観デザイン、組人数に合わせた席効率の最適化(テーブルレシオ)、店舗看板や誘導看板の設置を強化しています。2024年は、ガストやバーミヤンを中心に69店舗の改装を実施し、約5%の客数効果がありました。2025年は、年間約300店の店舗改装を想定しています。

2024年店舗改装実績

区分 実施店舗数 24年効果
店舗改装 69店 客数効果:+5.0%
※すかいらーくレストランツ対象

バーミヤン神宮前店  リモデル効果▶6.6%

カウンター席を11席設置、パーテーションを4枚追加することで、19卓1席増のレイアウト変更

ジョナサン瀬谷駅前店  リモデル効果▶19.2%

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店舗オペレーション力の向上

「オペレーション可視化」「労働時間の投資」生産性・利益率を大きく改善

すかいらーくグループでは、店舗オペレーションを細かく分解し、各工程で作業改善を行うことで、生産性を高める取り組みをしています。その際に基準となるのが、「オペレーションの可視化」です。2024年に、お客様が退店されてから、テーブルのセッティングが完了する時間(クリーンアップタイム=CU時間)をデータで見える化し、CU時間を短縮する取り組みを実施し、回転率の向上により客数効果を上げています。

「オペレーションの可視化」⇨現地・現物 × DXにより実現

各工程においてCU時間を短縮し、回転率を改善

具体的な取り組み
  1. お客様が退店された卓をタブレットに表示。下げ卓の発見までの時間を短縮
  2. 下げものを片付ける スピードアップ訓練
  3. 中間下げ台の設置・活用による歩行時間・仕分け時間の短縮
改善効果

CU(クリーンアップ)時間と客数には相関関係があり、CU時間が改善している店舗ほど、客数前年比が高い傾向にあります。客数増の有効な手法として、現在個店ごとにデータ分析→改善活動を行っています。

CU改善時間(8月~9月)

「週末ピークの労働時間の投資」

労働時間を投資しても人件費率が改善

コスト削減により収益を生み出していた時代は、店舗の労働時間をおさえ、売り損をしている実態がありました。2024年は、各店舗ごとに週末の売上・客数と必要労働時間を見直し、ピークタイムにしっかりと労働時間を投資することで、売りきりに成功しています。結果、労働時間を投資しても、人件費率が下がり、収益が上がるビジネスモデルを構築しています。

週末労働時間投資を後押しする「クルーポイント」の活用

2024年4月末より、週末や繁忙期に出勤したクルーに、すかいらーくポイントを付与する取り組みを開始。店舗の労働時間投資による売りきりに寄与する他、従業員のモチベーション向上にも寄与しています。

加算ポイントは、本部で設定する他、個店ごとにイベントなどの地域要素も勘案して決定
1時間あたり30p~150pを付与

週末労働時間(クルーポイント導入前後比較)

テーブルサービスレストランにおいて、日々の店舗のオペレーション改善は非常に重要です。すかいらーくグループは、現地現物で課題を明らかにし、データ分析やDX、動画マニュアル、設備改善を通じて、徹底したオペレーション改善を図ってまいります。

既存店成長 3

マーケティングの深化

データを活用した効果的なマーケティングで顧客体験価値を向上


すかいらーくグループは、競争が激化する外食市場において持続的な成長を実現するため、「マーケティングの深化」を重要な戦略の一つとして位置づけています。従来の画一的なメニュー・プロモーションから脱却し、データドリブンなマーケティングを推進することで、顧客一人ひとりのニーズに合致した最適な価値提供を目指しています。

すかいらーくアプリによる顧客理解の深化とOne to Oneマーケティングの推進

「すかいらーくポイント」の導入でアプリ会員1.6倍、CRMに最大活用
すかいらーくアプリは、会員数1,200万人を超えるお客様との重要なタッチポイントであり、貴重なデータソースです。2024年5月より、自社のポイント基盤となる「すかいらーくポイント」を導入し、顧客の属性情報、来店履歴、注文データ、アンケート回答などを詳細に分析することで、お客様一人ひとりの嗜好やニーズを深く理解することが可能になりました。この分析結果に基づき、パーソナライズされたクーポン配信、おすすめメニューの提案、キャンペーン告知などを実施するOne to Oneマーケティングを推進しています。これにより、顧客体験価値の向上を図るとともに、ロイヤルティを高め、継続的な来店を促進します。

「ダイナミッククーポン」による需要創出と顧客エンゲージメント強化

当社は、時間帯、曜日、顧客属性、過去の利用履歴といった多様なデータを活用した販促活動を展開しており、2024年度以降は、マーケットの多様化に伴い、より細分化したダイナミッククーポンの配信を実施しています。地域ごとに消費動向は多様化し、地域別から県別へ、さらに個店別からお客様別へと細分化した割引率でクーポン発行することでROI※を高めた販促を実現する他、閑散時の集客促進、客単価の増加、リピーター育成など、目的に応じた柔軟な販促施策を実行することが可能となります。お客様は、自身のニーズや状況に合った魅力的なクーポンを受け取ることで、来店意欲が高まり、エンゲージメントの強化につながっています。

※ROI:Return on Investment(「投資利益率」もしくは「投資収益率」)は、投資した金額に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標


狙い

集客 併売商品強化
リピート促進 割引率の適正化
離反客の再来店 エリア戦略(競合店対策)
時間帯活性化 客単価向上

アプリによるクーポン戦略の高度化



ブランド特性に基づいたメニュー・プロモーションの組織体制

すかいらーくグループは20以上のそれぞれ異なるコンセプトと顧客層を持つ複数のブランドを展開しています。各ブランドの強みを最大限に引き出すため、画一的な施策ではなく、ブランドごとの特性に合わせた戦略を立案し実行しています。

  1. ブランドポートフォリオ戦略とメニュー・プロモーションの位置づけ
    当社のブランドポートフォリオは、幅広い顧客ニーズに対応できるよう設計されており、それぞれのブランドが明確なターゲット顧客、提供価値、ブランドイメージを持っています。メニュー・プロモーション戦略は、これらの要素を深く理解し、各ブランドの認知度向上、来店促進、顧客ロイヤルティ強化に貢献することを目指しています。
  2. メニュー開発と販促の深化
    メニュー開発においては、データアナリストなどの専門部隊の分析をベースに各ブランドのメニュー開発チームがメニューを開発し、市場投入した商品を評価し次の開発に活かすサイクルを構築しています。
  3. プロモーション効果の測定と改善
    各ブランドのプロモーション施策は、売上、客数、単価、粗利高、粗利率、顧客満足度、ROIなどの指標を用いて厳密に測定しています。これらのデータ分析に基づき、施策の効果検証を行い、改善策を継続的に実施することで、プロモーションの費用対効果を最大化しています。


ユーザーコミュニティの例   しゃぶ葉「おやさい学校 しゃぶしゃ部」

「しゃぶ葉」では、ファンとの共創をメニュー開発に活かす取り組みを推進しています。2023年6月にファンコミュニティ「しゃぶしゃ部」を開設。メニュー開発への提案・提言を行っていただいており、その活動の一環として「新だし開発プロジェクト」を立ち上げました。


ファンコミュニティによる新だし開発試食シーン

第一回目に発案した「博多豚骨だし」は、だし選択率が過去フェア平均の4.3倍に


『地域別価格』戦略による収益最大化

全都道府県に店舗を展開するガストでは、地域ごとの市場特性や競合状況、顧客の価格感受性を考慮した4つの地域別価格戦略を導入しています。これにより、地域ごとの需要に応じた最適な価格設定を行い、収益の最大化を図っています。詳細な市場分析に基づいた価格設定は、お客様にとっての適正感を醸成し、競争優位性の確立に貢献します。