M&A推進(国内)
特集「株式会社資さん」の買収その狙いは?
すかいらーくグループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、2024年10月に北九州市のソウルフードといわれる「資さんうどん」を展開する株式会社資さんの全株式を取得いたしました。本M&Aは、当社の成長戦略における重要な柱の一つであり、両社の強みを掛け合わせることで、新たな顧客層の開拓、地域特性を活かした事業展開の加速、そしてグループ全体の収益力向上に大きく貢献するものと確信しています。
資さんうどんの紹介
1976年に北九州市で創業し、長年にわたり地域のお客様から愛され続けているソウルフード。看板商品「肉ごぼ天うどん」をはじめ、丼やカレー、定食、ぼたもちなど100種類以上の豊富なメニューが特徴で、24時間営業を主としている。低価格で日常使いができるお店として、地域に密着した店舗運営をしており、2025年5月時点で78店舗展開。
戦略的背景と目的 ⇨ なぜ、今「資さん」なのか?
戦略1 時代とともに変化するストアポートフォリオの「空白地帯」への対応
当社は時代とともに変化するマーケットに対応し、ストアポートフォリオの再構築を行っています。時代に合わせ目的来店型のカジュアルダイニング業態を自社開発し充実させながら、ファミリーダイニング業態においては、原材料価格の高騰に合わせ客単価をやや高める戦略をとっています。そのような中、日常使いの低価格業態に空白地帯が生まれており、ここを強力に補う業態として「資さんうどん」に仲間入りしていただきました。これをもって当社は、時代に対応した魅力ある強固なストアポートフォリオの実現に成功しています。
戦略2 地方の人口減少に伴う店舗数減少のリスクや自社カニバリを解消
現在すかいらーくグループの店舗配置は、地方やロードサイドに7割の店舗数を展開していますが、この先地方の人口減少はいっそう進み、当社の店舗配置は見直しが必要な局面に入ります。新規出店は都市部や駅前、商業集積地区へのポイントに打ち替えをしつつ、既存店舗は地方ロードサイドで根強い人気を誇る資さんうどんへの業態転換を実施することで、将来的な店舗数減のリスクを解消し、当社10か所のセントラルキッチンの生産・物流網を活かすのに最適な店舗数を維持した店舗運営が可能となります。また資さんうどんへの転換は、近隣グループ店舗のカニバリ解消効果も高いと想定しており、グループ内のエリア収益の最大化に寄与するものと考えていま
シナジーと成長戦略
前述の経営課題を解決する他、両社の経営資源を統合することで生まれるシナジーは以下の通りです。
前提となる考え方
「長年愛されるやみつきになる味・リピートしたくなるサービスといった資さんうどんの良さをしっかりと守り続けること」これまでの歴史を尊重し、資さんうどんの良さを全国・海外にお届けしていく使命を大切にすることこそ、M&AでWin-winの関係性を築く上で最重要であると当社は考えています。
資さんうどんの全国展開、海外展開への支援
資さんうどんは、2023年に関西、2024年に初の関東出店をいたしました。今後全国、そして海外への出店拡大を目標とする中、出店のリソースを必要としています。すかいらーくグループ約3,000店舗の既存店や立地開発力、一貫したサプライチェーン、人財や教育マニュアル、資金を活用していただくことで、店舗展開を強力にサポートしていきます。
資さんうどんの収益力の強化
食材の一部をすかいらーくのセントラルキッチンで一次加工することや、店舗設備機器のグループ一括購入による原価低減、また既存店からの転換による出店コストの低減など、効率を高めた店舗運営を実現することで、収益力の最大化を図ります。
現在資さんの肝となる「うどん」の製造をすかいらーくのセントラルキッチンで行うための検証を行っていますが、地域ごとに異なる水質の影響を考慮し、同じ味の再現に試行錯誤を繰り返しています。この味へのこだわりが資さんとすかいらーくの連携を強固なものにしています。
リスクへの対応
関東でも北九州のうどんが受け入れられるのか?
M&Aは、不確実性が否めません。資さんの全株式を取得するにあたり、最も懸念した点が、「関東でも北九州のうどんが受け入れられるのか?」でした。
当社は感覚にたよらず、理化学分析を実施することで、全国に受け入れられるアミノ酸構成であることを確認し、その展開に確信を持つことができました。一般消費者によるモニターテストなども実施し、確かな手ごたえを持ち、M&Aに至りました。当社は取締役会も含め、多角的な角度からあらゆるリスクや将来性を分析し、M&Aを行っています。
今後の展開においても、緻密な連携を図りながら、想定通りのシナジー効果が得られているか、KPIを明確に設定し、定期的な効果測定と改善策の実施をしていきます。
両社の強みを最大限に活かし、新たなシナジーを創出することで、より魅力的な企業グループへと進化してまいります。
業績好調な関東進出と今後の展開

関東1号店(千葉県八千代店)
2024年12月オープン
日商:200万円以上
客数:2,000人以上/日
2025年は土台づくりの年として21店舗の出店を計画しており、あらゆる立地パターンを検証し、あるべきフォーマットを固めていきます。
今後、2026年に50店舗、2027年には100店舗の出店を予定しています。
M&A推進(海外)
マレーシア ムスリム向けしゃぶしゃぶ業態「Suki-Ya」買収
当社は国内市場に加え、海外の外食市場を開拓していく上で、海外のM&Aも重視しています。
2025年1月にマレーシアで人気のすき焼き・しゃぶしゃぶレストラン「Suki-Ya 」などを運営するCreateriesConsultancy Sdn. Bhd(. CCグループ)の全株式を取得いたしました。CCグループは、豚肉とアルコールを提供しないムスリム向けの店舗であり、高品質な肉を手頃な価格で提供することで人気を集めています。マレーシア市場においてマレーシアの顧客層と中華系の顧客層という2つの異なるターゲット層に向けたブランド戦略を展開することで、迅速な店舗網拡大を目指しています。すかいらーくは、この買収を通じて、マレーシアにおける店舗網を拡大するとともに、東南アジア市場への本格的な進出を目指しています。
▶海外展開については、こちらをご覧ください。
M&A方針 当社のインフラを活用し、事業展開を強力にサポート
当社が提供するサポート
- 全国約3,000店のインフラを活用した多店舗展開のサポート(当社既存店舗を活用した出店が可能
- 豊富な人財/人財育成プログラムの提供
- 事業資金のサポート
- セントラルキッチン/自社配送網による日本全国への毎日配送
- 購買力を活かした安価で良質な食材の活用
- ビッグデータを活用したマーケティングノウハウ
当社とシナジーのある企業(例)
- 出店拡大のためのリソースを必要としている既存の飲食店チェーン
- 優良なコンセプトをお持ちで事業拡大を検討している外食スタートアップ企業
- 当社インフラを活用することにより事業規模・事業効率を高められる配食事業、中食事業者 など
3年間で3~5件を計画
2024年に1件、2025年にも1件 達成!
2025〜2027年の3年間で、3~5件のM&Aを計画しており、現在すでに2件を達成しています。出店拡大のためのリソースを必要とされている既存の飲食店チェーンや、優良なコンセプトをお持ちで事業拡大を検討されている外食スタートアップ企業などを対象に、当社のインフラや強みを活用して事業展開を強力にサポートし、双方がWin-winとなる関係を構築する方針のもと、積極的に検討を進めていきます。