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トップメッセージ(2024年8月更新)

既存店の収益力を強化し、
持続可能な成長を目指します

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実


日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

8月14日に公表しました2024年度第2四半期決算、並びに、経営の概況についてご報告いたします。

上半期決算の概要・業績予想の上方修正

2024年1-6月期は、売上高1,914億円(前年比+216億円)、事業利益119億円(前年比+63億円)※、営業利益120億円(前年比+91億円)、当期利益63億円(前年比+57億円)となりました。堅調な外食需要を取り込んで、既存店は好調に推移し、新規出店と業態転換も計画を大きく上回る好業績で、増収増益となりました。
下半期も堅調なトレンドが続くと見込まれることから、今期の業績予想を上方修正いたします。(売上高:3,750億円から3,950億円、事業利益:170億円から250億円、営業利益:150億円から240億円、当期利益:75億円から130億円に修正) 
また、1株当たりの配当金は10円から17.5円に増額させていただき、増額の7.5円を中間配当といたします。

※事業利益は売上高から売上原価および販売費及び一般管理費を除いた金額

上半期業績の内訳

①既存店の概況

既存店の強化は、成長戦略の中で最も重要な課題だと認識しています。その実現に向けて、従前より、営業政策とマーケティング(メニュー・プロモーション)政策に注力しており、着実に実力を上げてきています。
上半期の前年対比のイートイン売上高は14%上昇し、テイクアウト・宅配の売上高は9%上昇しました。



既存店成長に向けての基本方針として、人的資本の充実=店舗中心経営 を掲げています。
代表的な取り組みと効果として、ピークの時間帯に労働時間を投入することで、回転率が向上し、上半期前年対比の売上高は13%上昇しました。一方で、人件費率は2%改善し、結果、労働時間を増やしつつも、営業利益は+16%増加となりました。



営業政策では、客数回転率の向上に加え、サービス・品質の向上も売上増に貢献しています。具体的な取り組みとして、オンライン面接を推進するなど採用プロセスを効率化することで採用数は前年比120%となりました。
また、教育/トレーニングプログラムの充実等により定着率が向上し、在籍人数も前年比110%と増えています。
さらに、クルーポイント制度を導入し、週末などの繁忙期の出勤にポイントを付与することで、人財の確保がしやすくなりました。客数増に応じて適正な人員の配置することで、売上・利益の最大化とサービス・品質の向上を実現しています。事実、お客様からのクレームは減少し、お褒めの声は、昨年から1.3倍に増加しています。


コロナ禍を経てインフレ環境に転じ、コスト削減だけでは利益が出せない新たな時代を迎えて、ライフスタイルを的確に捉えた経営がますます重要になっています。
先にも述べましたが、当社は今、コスト削減重視の経営から、「店舗中心経営」に大きく舵を切り対応を進めています。業績インセンティブ制度の新設や、評価制度の改革などを通じて、店舗マネジャーのやる気を引き出し自律的な店舗運営と目標達成のサポートを組織的に推進しています。加えて、教育・研修制度を充実させて、個人の能力に応じたスキルアップを推進しています。サービス研修においては、「お客様の立場に立って考える」ことを従業員一人一人の行動に徹底して浸透させることに努めています。さらに、正社員のベースアップやパート・アルバイトの時給見直しなど、賃金の引き上げも積極的に進めています。
一連の取り組みによって、従業員のモチベーションと帰属意識を高めることで、より良いサービスが実現し、お客様満足=客数・客単価の増加に繋がり、収益の増加に貢献するという好循環を生み出していくものと確信しています。この人的資本への投資による従業員の満足度の向上と成長こそが、これからの企業成長の源泉であり、今後も人への投資を強化していく考えです。

②店舗開発施策の状況

上半期の「新規出店」、並びに、既存店売上に貢献する「業態転換」「店舗リモデル」「リードサイン(誘導看板)」「店頭看板」の実績と売上/客数効果は下表の通りです。いずれの政策も順調に進捗し、上半期の収益に貢献しています。

③メニュー・販促施策

営業政策と店舗開発政策に加えて、メニュー・販促施策も既存店売上高の成長を牽引しています。

コストパフォーマンスの高いメニュー、季節の商材、家庭では食べられないメニューなど、ブランド毎の特性に合ったフェアメニューを投入し、客数増加(前年比109%)と客単価上昇(前年比103%)に貢献しました。また、グランドメニューのブラッシュアップや一部商品の価格改定を実施することで、粗利率の改善に努めました。

プロモーションは、広告宣伝費を増やして集客を図っています。ブランド横断的に「鬼滅の刃」コラボキャンペーンを展開し、ヤングファミリーを中心に客数効果を上げました。また、ガストでは、タレントのヒロミさんがスペシャルアドバイザーに就任してオリジナルDIYメニューを考案する企画など、外食の楽しさを訴求するプロモーションを積極的に展開し、集客に繋げました。下半期は、広告宣伝費をさらに投下し(前年比146%)、デジタル・アナログ媒体の露出の拡大や個店毎の販促を強化いたします。

5月16日よりスタートしたすかいらーくポイントプログラムは、アプリのダウンロード数、アプリ会員数、ポイント付与率が順調に増加しています。従業員インセンティブへの活用や、今後は、顧客の細分化したニーズを捉えた商品・サービス開発、プロモーションなど、CRMへの活用を強化していきます。

④宅配事業

宅配事業も様々なキャンペーンを実行し、第2四半期の宅配事業の売上前年比は113%と好調でした。
現在、店舗のキャパシティや立地条件に応じて、「自社配達」、「自社受注・他社配達」、「他社受注・他社配達」の3パターンで事業を編成し、効率化と収益の最大化を目指しています。中でも「自社受注・他社配達」は、従来の自社顧客を維持して、自前ではコスト負担が大きい配達を第三者のUber社やWolt社に委託する新たなスキームで、現在約732店舗まで導入が進んでいます。

⑤DX進捗

DX施策は計画通り進捗しています。お客様の利便性の向上とフロアサービスの生産性向上、店舗運営の効率化、工場における電子化や自動化、本部業務のさらなる効率化やDX人財の育成など、全社的な生産性向上が進んでいます。

ESG取り組み状況

ESGの進捗について、環境関連では、しゃぶ葉全店で「こまめどりプロジェクト」を始動しました。しゃぶしゃぶ食べ放題の食品ロス対策として、こまめに取って食べ残しのなかったお客様にクーポンを提供する取り組みは、お客様、環境、当社の三方良しの施策となっています。このほか、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD※)提言への賛同とともに、国際組織「TNFDフォーラム」にも参画しました。

社会貢献では、4月に発生した台湾東部地震に対して、当社および台湾現地法人から、店頭募金、マッチング募金、バーミヤンの寄付付き商品からの寄付等を合わせ、約2,700万円を寄贈しました。

外部機関のESG評価に関しては、「SOMPOサステナビリティ・インデックス」に2年連続で選定されました。また、国際的なESG評価機関のFTSE RussellからESG Ratings 4.7点(5点満点中)という高いスコアを獲得し、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」に3年連続で選定されました。国内の上場企業約1,400社の中で当社は第6位のスコアで、トップクラスの評価を得ています。

※企業活動が自然環境に与える影響を評価し、その情報を公開するための国際的なフレームワーク

中期事業計画の進捗

①既存店の準備状況

中期事業計画の利益目標の達成においては、既存店の成長が大きなウェイトを占めます。
2024年当初の業績予想の営業利益は150億円に対し、既存店成長の貢献利益は77億円でした。上半期の好業績を受けた修正業績予想における既存店の貢献利益は157億円となり、営業利益を240億円まで押し上げています。中期事業計画最終年度の2027年の営業利益の目標は320億円ですが、今期の修正予想の240億円は、来期2025年の目標を上回る水準であり、目標達成を前倒して順調に進捗している状況です。

②店舗開発施策の状況

中期事業計画の成長戦略の1つとして、2025年~2027年の3年間で国内300店舗の新規出店の目標を設定しています。来年度からの本格出店攻勢に向けて、現在必要な人財の採用と育成を進めています。

新規出店の収益性に関しては、既存店と比較して、売上・利益ともに高い水準であることを確認しています。直近2022年・2023年の新規出店は既存店と比較して、年商は1.6倍、EBITDAは2.7倍、EBITDAマージンは+8%となっています。この新店の好業績は、出店分析力の向上、高い人財採用力、建設投資の抑制など、再現性のある当社グループの強みに立脚しています。

2024年の出店数は43店舗を見込んでいます。2025年の目標店舗数は100店舗ですが、既に32店舗の出店が決定済みであり、順調に進捗しています。

新規出店は、「高度商業集積地」「駅前」「多業態での出店余地」「ショッピングセンター」の立地戦略沿って、幅広いブランドポートフォリオから最適なブランドを投入して高収益につながる店舗開発を推進しています。前述の通り、直近の新規出店の多くは高い収益を上げており、データ分析と成功事例の学びを活かして、目標達成を目指します。

一方で、社会情勢や経済環境は時に激変する環境が今後も予想されます。マーケットの変化に応じて柔軟に対応し、困難な局面においては目標出店数に拘るのではなく、臨機応変に最適な経営判断を下して出店戦略を実行していく考えです。


ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2024年8月14日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真 
代表取締役社長 金谷 実

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