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トップメッセージ(2024年2月更新)

新たな時代のマーケットを見極め
既存店の強化と出店拡大による成長を目指します

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実


日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

1月の能登半島地震により、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、ご遺族と被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
皆様の安全と一日も早く平常の生活に戻られることを、心よりお祈り申し上げます。

2月14日に公表しました2023年度通期決算、並びに、今後の成長戦略をご報告いたします。

2023年度通期決算・2024年度業績予想

2023年度は、売上高3,548億円(前年比+511億円)、事業利益※164億円(前年比+251億円)、営業利益117億円(前年比+173億円)、当期利益48億円(前年比+112億円)となりました。昨年5月のコロナ5類への移行後、外食需要は堅調に回復し、全社の収益構造改革も着実に成果を上げた結果、事業利益、営業利益、当期利益はいずれも業績予想を上回る着地となりました。

2024年度は、既存店の強化と新規出店を軸とした経営戦略を推し進め、今期は、売上高3,750億円、事業利益170億円、営業利益150億円、当期利益75億円の増収増益の業績予想です。

※事業利益は売上高から売上原価および販売費及び一般管理費を除いた金額

事業環境・今後の成長戦略

食材価格・エネルギーコスト・人件費のインフレによるコストプッシュの環境は今後も続くことが予想されます。一方、今年の春闘の賃上げは昨年を上回る高い水準で実施される機運が高く、賃金上昇をきっかけに景気拡大を伴う良いインフレに発展する兆しが見えてきている状況です。

このような認識の下、2024年度以降の成長戦略を (1) 既存店の成長、(2) 新規出店:国内出店の加速・海外での積極展開、(3) M&A を柱に据え、(4) DXの推進、(5) 人的資本への投資、(6) ESGの推進 を基軸に、企業価値の向上を目指してまいります。

(1)既存店の成長

①メニュー・プロモーション戦略

当社のレストランビジネスは、ガストやバーミヤンなどお手頃価格で幅広い利用動機に対応し全国に多店舗を展開する「ファミリーダイニング」事業と、しゃぶ葉やむさしの森珈琲など、専門性が高く外食ならではの豊かな体験や価値を提供する「カジュアルダイニング」事業の両輪で、お客様の多様化する外食のニーズにお応えしています。

ガストでは、昨年11月にお手頃価格の小皿料理を拡充し、コストパフォーマンスの良さと選べる楽しさを提供することで、客単価上昇の効果が得られました。
しゃぶ葉では、昨年末に「生ずわいがに食べ放題コース」を7,000円台という過去にない高単価で販売したところ、予想をはるかに超える売れ行きで予定より早く終売することになりました。お客様には大変ご迷惑をおかけしましたが、価値ある商品を単価の高低に関わらずお値打ちと感じられる価格設定は、お客様に支持されることを改めて実感しましたので、各ブランドにおいて今後のメニュー政策に生かしていく考えです。

プロモーション戦略は、「スパイファミリー」や「ちいかわ」など人気キャラクターとのコラボを展開し、顧客誘引策を実施し、新規顧客やライトユーザーの来店効果を確認しています。また、共通ポイント各社との共同販促を強化するなど、割引クーポン以外のプロモーションによる来店・リピート施策を強化していきます。

②業態転換・リモデル・誘導看板の設置

多様なブランドを持つ当社の強みを生かした業態転換は、昨年は41店舗実施し、150.2%の売上効果がありました。今期は70-80店舗の転換を計画しており、約17億円の売上効果を見込んでいます。

店舗のリモデル投資も継続します。2023年度は98店舗を実施し4.6%の売上効果がありました。今期は70~80店舗を計画しており、約3億円の売上効果を見込んでいます。

また、店舗リモデルを展開する中で、店舗の視認性と売上効果に高い相関があることを確認しています。今期はロードサイトの誘導看板を約500店に設置予定で、約9億円の売上効果を見込んでいます。
また、駐車場のIN看板についても約500店舗で変更予定です。実験店での検証結果から、駐車場へのアプローチをより分かりやすく改善したものに変更することで、約7億円の効果を見込んでいます。

③土日の売上拡大・サービス向上

外食需要の順調な回復は特に週末に顕著に表れています。回転率を上げて長い待ち時間を解消することで、週末の売上はさらなる伸びしろがあることを検証し確認しています。今後、全店舗で週末の人員配置の見直しを行い、採用と教育を強化して適正な人員を配置し、週末の売上最大化につなげていきます。

同時に店舗のDXも継続強化しています。テーブル決済のペイメント拡充やセルフレジの導入店拡大などにより、会計時間の短縮やクレーム件数の減少など、お客様サービスの向上も進んでいます。

(2)新規出店・海外展開

①国内新規出店の加速

当社は全国に3,000店舗をロードサイト立地を中心に展開しています。ここ数年の大型商業施設や都市部の駅前立地への新規出店は計画以上の集客を獲得できており、大きなマーケットが存在します。
2024年度以降の出店方針は、商業集積地区、地方都市の駅前、都市部の私鉄沿線への出店を加速し、地方都市の業態バリエーションも増やしていきます。今後3年間で約300店の新規出店を計画しています。

②海外の積極展開

現在、台湾に68店舗、マレーシアに4店舗、米国に1店舗展開しています。
台湾は店舗数・売上高を順調に伸ばし、昨年は新工場が稼働して、100店舗~200店舗体制への土台ができました。
マレーシアは今期2店舗を出店予定で、今後東南アジア他国への進出の足掛かりにしていきます。
米国もオペレーションと収益構造の改善が進み、昨年12月は過去最高売上を更新しました。今期は2店舗の出店を予定しています。
国内同様、海外店舗も出店を加速させ、2027年にかけて約100店舗の新店を計画しています。

(3)M&A

今後3年間で、M&Aによる事業規模の拡大も本格的に着手します。出店拡大のためのリソースを必要としている既存の飲食店チェーンや、優良なコンセプトをお持ちで事業拡大を検討している外食スタートアップ企業などを対象に、当社のインフラや強みを活用して事業展開を強力にサポートし、Win-Winの関係を構築する方針のもと、積極的に検討を進めていきます。

(4)DXの推進

DXへの積極的な投資も継続しています。既存の有人レジをセルフレジ化する開発を進め、2024年上期中に全店※がセルフレジ化する計画です。導入店では8割以上のお客様にセルフの会計をご利用いただいており、従業員の生産性向上にも貢献しています。
すかいらーくアプリでのテーブル決済も利用可能になり、各種ポイントの付与も可能になりました。

本部でのDXも継続して推進中です。生成AIを活用した各種業務の自動化をはじめ、昨年は前年比167%のDX案件を実施し、生産性向上に貢献しています。

※ガスト、バーミヤン、ジョナサンなどファミリーダイニング業態、しゃぶ葉全店

(5)人的資本への投資

当社は、多様な人財が活躍し、従業員の成長とエンゲージメントの向上が企業価値の向上に不可欠であるという考えのもと、人的資本経営に取り組んでいます。
処遇や人財登用において性別や国籍、人種や宗教、障がいの有無によって違いを設けることはありません。
女性の活躍推進に向けては、出産などライフステージの変化に対応した体制づくりや、40代~50代の正社員を積極採用しています。また、高齢者や外国人の雇用も積極的に取り組んでいます。

従業員のスキル向上では、実地のオペレーション研修をベースに、集合型・WEB・オンデマンド・e-ラーニングと研修内容と目的に応じて整備しています。また、トレーニングマニュアルの電子化、映像化、多言語化や、トレーニングセンターを開設するなど、教育環境を整備し、従業員のスキル向上機会の最大化を図っています。

また、「やりがい」をもって働ける環境づくりも重視しており、従業員サーベイによるモニタリングの実施と活用、適正な労務管理、健康経営の推進に取り組んでいます。

(6)ESGの推進

当社はESGを成長戦略の基軸と位置付け、経営と一体となって推進しています。

2030年までに環境への負荷を50%(2018年比)まで削減する目標を定め、「脱炭素」「脱プラスチック」「食品ロス削減」の各分野で、様々な取り組みを進めています。店舗や自社工場への太陽光発電の導入、使い捨てプラスチックの削減、食べ残しの削減など、取り組み毎にKPIを設定して進捗をモニタリングしており、いずれも計画通りに削減が進んでいます。

また、環境関連の積極的なデータ開示や、ESGを推進する組織体系の強化などが評価され、CDPやFTSEをはじめとした主要なESGスコアも年々上昇しています。

1月に発生した能登半島沖地震に際しては、速やかに緊急募金を実施し、被災地における食事支援活動も開始し現在も継続して実施しています。

これからも食を提供するレストラン企業としての使命を果たし、地球環境や地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。


ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2024年2月14日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真 
代表取締役社長 金谷 実

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