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トップメッセージ(2025年2月更新)

全社生産性の向上により、
収益力を高め企業価値の向上を目指します

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長CEO 谷 真
代表取締役社長COO 金谷 実


日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

2月13日に公表しました2024年度通期決算、並びに事業戦略の進捗についてご報告いたします。

メッセージサマリ

  • 2024年度決算は増収増益。営業利益・当期利益は、前年対比2倍超。既存店の客数・客単価の伸長が収益増に大きく貢献。ROEは、8.3%と目標値を上回る
  • 2025年もインフレ環境は続き112億円のコスト増を見込む。消費の二極化が深化しており、一層のお値打ちの創出が求められている
  • 原価高騰の打ち返し、全社生産性向上、消費動向に対応したメニュー・価格戦略とプロモーションの高度化により、既存店売上高を伸ばし、2025年度ガイダンスも増収増益。ROEは8%台を維持

2024年度決算の概要

2024年1-12月期は、売上高4,011億円(前年比+463億円)、営業利益242億円(前年比+125億円)、当期利益140億円(前年比+92億円)の増収増益となりました。店舗中心経営の推進と、消費者ニーズを捉えたメニュー・プロモーション施策が効果を上げ、既存店売上高は前年比111.6%と好調に推移しました。また、立地を厳選して戦略的に進めた新規出店や業態転換も収益増加に貢献しました。
主要財務指標のROEは、8.3%と前年の3.0%から改善し、最低目標として定めた8%の資本コストを上回る水準となりました。

事業環境について

インフレ環境は今後も続くことが見込まれます。特に昨年からは米を中心に食材原価の高騰が著しく、2025年のインフレ影響は約112億円を想定しています。消費環境は選択的消費(消費の二極化)の傾向がより深化しており、一層のお値打ちを創出する経営が求められています。原価高騰に対しては、部門横断の原価低減プロジェクトを継続し、調達先の多様化、生産物流の一層の効率化、食材・レシピの見直しや食材ロスの削減をさらに進め、原材料費の抑制に努めていきます。また、メニュー・プロモーション施策を高度化し、店舗でのサービス・品質を高めてお客様満足度の向上と客数・客単価の上昇に繋げます。

2025年度ガイダンスについて

昨年策定した2025年から3か年の中期事業計画は順調に進捗しています。前述の事業環境を踏まえ、全社生産性の向上と客数・客単価上昇の取り組みにより、今年度のガイダンスは、売上高4,450億円(24年比+439億円)、営業利益250億円(24年比+8億円)、当期利益148億円(24年比+8億円)、ROE 8.3%と設定し、収益力のさらなる向上を目指してまいります。


■事業戦略の進捗について■

既存店の成長

オペレーション政策

週末などの来店ピークの時間帯に労働時間を追加投入することで売上を伸ばし、利益率の改善を進めています。また、お客様が退店されてから、テーブルのセッティングが完了する時間(クリーンアップタイム=CU時間)をデータで見える化し、CU時間を短縮する取り組みを全店(※)で実施し、回転率の向上により客数効果を上げています。今期は、キッチン作業の効率化に焦点を当てたプロジェクトを始動し、さらなる生産性向上を図ります。DXを活用してオペレーションの改善とサービスの向上を組織的に進めることで、お客様満足の向上と収益率の改善につなげていきます。

※テーブルオーダー端末導入店(約2,500店)

メニュー・プロモーション政策

物価高騰が続く中、二極化したお客様の厳しい選択眼に対応するため、日常使いとしての超お値打ちメニューの充実と、同時に、外食ならではの価値を感じていただけるメニューの充実を進めています。
プロモーションは、すかいらーくアプリの会員数が昨年末までに1,158万人に達し、アプリクーポンの効果が増加しています。ガストでは戦略的に地域別の価格を導入していますが、これまで値引き後の金額が同一だったクーポンをよりダイナミックに値引き額を変えることが可能になりました。物価高騰の影響で地方のお客様の来店頻度の弱さが課題となっていますが、前述の超お値打ちメニューの充実やダイナミッククーポンによる地方価格の割引率の拡大によって客数の回復を図っています。ダイナミッククーポンは今後さらに高度化させて、県別や個店別に出し分けを行い、より効率的な運営を目指します。

業態転換・リモデル

2024年は、64店舗の業態転換を実施しました。すかいらーくレストランツの55店舗では、売上効果伸び率は147%でした。加えて、カニバリ解消効果は+6%となり、転換店舗と近隣店舗のエリア全体の収益増にも貢献しました。店舗のリモデルは87店舗を実施し、すかいらーくレストランツの69店舗では+5%の客数効果を上げています。
2025年は60~70店舗の業態転換を計画しています。リモデル投資は大幅に拡大して230~240店舗を予定し、客数効果をさらに引き上げたい考えです。

新規出店

2024年の新規出店は都市部・駅前を中心に立地を厳選し、43店舗を出店しました。(海外12店舗を含む)。新店の実績(※)は、既存店対比で売上高126%、利益率は+7%と好調に推移し、6億円の営業利益に貢献しました。
中期事業計画では、2025年以降、国内・海外を合わせて年間約130店の新規出店を掲げていますが、建設資材等の高騰を受け、今年度は80~90店舗となる見込みで、売上高72億円、営業利益1億円の貢献を想定しています。

※すかいらーくレストランツの店舗

M&Aについて

昨年10月に当社グループにお迎えした資さんうどんは、12月に関東1号店となる八千代店をオープンし、平均日商200万円を誇る大繁盛店になっています。2月24日には両国店をオープンします。商品とサービスの品質を守りながら、当社の自社工場や物流網などサプライチェーンのインフラを活用することで、効率的な店舗運営とグループ全体の効率化も目指します。2026年以降の出店拡大の足固めを進めつつ、2025年は21店舗の新規出店を計画しています。(12店舗はすかいらーく既存ブランドからの転換)。
また、昨年12月に、マレーシアでムスリム系のしゃぶしゃぶ業態「すき屋」をお迎えしました。経済発展により所得水準が上がったムスリムのお客様から高く支持されている人気の業態です。マレーシアの人口の6割を占めるムスリム向けの飲食店が同国ではまだ少ない状況にあり、ブルーオーシャン市場だと捉えています。現在13店舗を展開しており、2025年は3店舗の出店を計画しています。将来はマレーシアに加えて、インドネシア等のムスリムマーケットへの拡大も見据えています。
今後も当社ビジネスとシナジー効果の高い案件は、国内海外を問わず積極的に進めていく考えです。

人的資本の充実: 店舗中心経営

2024年は、これまでのコスト削減重視の経営から、「店舗中心経営」に大きくシフトし対応を進めました。業績インセンティブ制度の導入や、評価制度の改革などを通じて、店舗マネジャーの自律的な店舗運営と目標達成のサポートを組織的に推進しています。教育・研修制度を充実させて、個人の能力に応じたスキルアップを推進しています。また、正社員のベースアップやパート・アルバイトの時給見直しなど、従業員のモチベーションと帰属意識を高める様々な取り組みを進めています。さらに、今春より正社員の人事制度を大幅に改定し、高度な専門職人材の育成を促進します。店舗マネジャーの高度人材や、本部のデータアナリストなどの専門職に上級エキスパート職を設け、スキルアップに応じて給与を引き上げることで社員の能力向上を後押しします。これからの時代、高度プロフェッショナル集団への移行が経営力の強化に直結すると考えています。
人財確保の課題については、DXを活用した新たな仕組み「スポットクルーシステム」をリリースしました。当社の10万人のパート・アルバイトの方が隙間時間を活用して働きたいニーズと、人手が足りない時の店舗マネジャーのニーズを同時に満たす画期的な仕組みです。将来は、一般の方の登録も受け付けて、当社グループ店舗で柔軟に働きたい方の応募を幅広く募り、人財確保を一層強化していきます。 人的資本への投資による従業員の満足度の向上と成長こそが、企業成長の源泉であり、今後も人への投資を強化していく考えです。

DXの推進

お客様の利便性向上と従業員の生産性向上のためのDXは継続して推進しています。
昨年12月に「すかいらーくアプリ」によるテーブル決済のサービスをリリースしました。バーコード決済やクレジット会計が可能で、会計の待ち時間の解消に繋がり、お客様からの満足の声も多数寄せられています。また、多くのご要望を受けていた電子レシートの発行も1月からサービスを開始しました。お客様の利便性を高めると同時に紙の削減によるエコ推進とコスト削減にもなっています。
店舗のバックオフィス業務の効率化の一環として、勤務シフトの自動作成のシステムを導入しました。パート・アルバイトの方が自身のスマホで入力した情報から自動的に生成された勤務表を店舗マネジャーが確認して調整するオペレーションに変更になり、これまでの紙ベースの作業と比較して、作業時間の大幅低減につながっています。
本社におけるDXは「お困り事タスクフォース」として活動を継続しています。生成AIを積極活用してメニューブックのチェックや本部への問い合わせの要約などを含め、2022年の始動から累計300件以上の案件を実現して日常業務の様々な困り事を解決し、生産性向上に寄与しています。また、本社のDX推進をきっかけに社内で自発的に発足したITスキル向上の勉強会は広がりを見せ、IT関連の資格取得者を数多く輩出しています。

ESGの推進

ESGの取り組みは、取締役会による監督のもと、代表取締役社長が委員長を務め当社グループの経営幹部が委員として参画する「サステナビリティ委員会」が中心となり、経営と一体となったESG推進体制を構築しています。
2030年までに環境への負荷を50%(2018年比)まで削減する目標を定め、「脱炭素」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」の各分野で、目標達成に向けた取り組みを進めています。太陽光発電の導入、使い捨てプラスチックの削減、食べ残しの削減など、取り組み毎にKPIを設定し進捗をモニタリングしています。脱炭素の分野では、これまでに自社工場2か所と164店舗に太陽光発電の導入が完了しています
環境関連の積極的なデータ開示や、ESG推進の組織体系の強化など、数々の取り組みが評価され、主要なESGスコアは年々上昇しています。直近では、国際的な非営利団体であるCDPより、「気候変動」と「水セキュリティ」において最高評価の「Aリスト企業」に初めて認定され、ダブルA企業となりました。また、世界的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index (DJSI Asia Pacific)」の構成銘柄に初めて選定され、レストラン・レジャー分野で世界第2位という高い評価を受けています。
この他、地震や台風などの自然災害時の募金や支援活動、児童養護施設やリトルリーグなどの支援活動をはじめ、地域社会の貢献につながる活動にも積極的に取り組んでいます。
これからも食を提供するレストラン企業としての使命を果たし、地球環境や地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。


ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2025年2月13日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長CEO 谷 真 
代表取締役社長COO 金谷 実

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