事業基盤を強化し、
成長戦略を着実に実行しています
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実
日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。
11月13日に公表しました2024年度第3四半期決算の概要についてご報告いたします。
第3四半期決算の概要
2024年1-9月期は、売上高2,947億円(前年比+311億円)、事業利益194億円(前年比+65億円)※、営業利益193億円(前年比+93億円)、当期利益105億円(前年比+41億円)となりました。既存店の前年比売上高は111.5%と好調に推移し、新規出店と業態転換も計画を上回る業績で、増収増益となりました。
※事業利益は売上高から売上原価および販売費及び一般管理費を除いた金額
第3四半期業績の内訳
オペレーション政策
年初より、週末などの集客ピークの時間帯に労働時間を追加投入することで売上を伸ばし、利益率の改善を進めています。また、お客様が会計後に退店されてから、テーブルの最終下げが完了する時間(クリーンアップタイム=CU時間)をデータで見える化し、CU時間を短縮する取り組みを全店※で実施し、客数効果を上げています。さらに、ランチ・ディナーのピーク時間の前により多くの労働時間を充てることで、料理提供の時間を改善し、お客様をお待たせしないサービスにつなげています。DXを活用してオペレーションの改善とサービスの向上を組織的に進めることで収益率を高め、お客様満足の向上に努めています。
※テーブルオーダー端末導入店(約2,500店)
メニュー・プロモーション政策
物価高騰が続く中で、身近なレジャーとして外食を選択される消費傾向が見られます。そのようなニーズにお応えすべく、今夏、ガストではアジアンフェアとゴーゴーカレーとのコラボレーションを展開し、家庭では食べられない外食の特別感を打ち出したフェアメニューを展開し、客数増と単価上昇につなげました。
また、うなぎの販売を主力ブランドのガスト、夢庵、藍屋、から好しで強化し、前年を大きく上回る販売実績を上げ、単価増にも貢献しました。
インフレ対策としては、米価格の急激な高騰を受け、9月にガストをはじめ主要ブランドでライスの値上げを実施させていただきました。
プロモーションは、下期は広告宣伝費を増やし、チラシの配布エリアの最適化と配布部数増、SNSへのチラシの掲載、当社としては初の試みであるチュロスの試食やタイムセールの実施など、集客拡大の販促を展開し、客数増につなげています。
デリバリーでは、自社受注の収益性向上と、宅配未実施店舗での新規受注に向けて、Wolt DriveとUberDirect(自社チャネルでの受注・他社ドライバーによる配達)の本格導入を進め、約750店に導入を行いました。
新規出店・業態転換・リモデル
2024年は9月までに21店舗を新規出店し、年間では40店を見込んでいます。都市部、駅前立地を中心に出店し、1-9月の既存店売上対比では131%の効果を確認しています。2025年は現時点で60店舗分が確定しており、約400か所の候補立地の選定を進めています。
業態転換は1-9月で60店舗実施し150%の売上伸び率でした。加えて、カニバリ解消効果は+6%となり、転換店舗と近隣店舗のエリア全体の収益増にも貢献しています。
店舗のリモデルは52店舗を実施し+6%の客数効果※を上げています。
※客数効果はすかいらーくレストランツ店舗
資さんうどんのM&Aについて
当社は2024年10月に株式会社資さんの全株式を取得し、資さんうどんをすかいらーくグループにお迎えしました。資さんうどんは、北九州のソウルフードとしてお客様から圧倒的な支持を得て、うどんを中心に多様な和食メニューを低価格帯で展開しています。
当社のブランドポジションの空白領域をカバーし、ブランドポートフォリオが強化されたことは、今後の成長に大きなプラスとなります。3,000店の店舗網を活用し、新規出店や転換により全国展開を目指しています。また、当社の自社工場や物流網などサプライチェーンのインフラも活用することで、グループ全体の効率化も目指します。資さんうどんがお客様から支持される品質やサービスを守りながら、今後数年で200店舗規模まで増やしていく計画です。
人的資本の充実: 店舗中心経営
コロナ禍を経てインフレ環境に転じ、コスト削減だけでは利益が出せない時代を迎えて、ライフスタイルを的確に捉えた経営がますます重要になっています。当社はコスト削減重視の経営から、「店舗中心経営」に大きく舵を切り対応を進めています。業績インセンティブ制度の導入や、評価制度の改革などを通じて、店舗マネジャーのやる気を引き出し自律的な店舗運営と目標達成のサポートを組織的に推進しています。加えて、教育・研修制度を充実させて、個人の能力に応じたスキルアップを推進しています。サービス研修においては、「お客様の立場に立って考える」ことを従業員一人一人の行動に徹底して浸透させることに努めています。さらに、正社員のベースアップやパート・アルバイトの時給見直しなど、賃金の引き上げも積極的に進めています。
一連の取り組みによって、従業員のモチベーションと帰属意識を高めることで、より良いサービスが実現し、お客様満足=客数・客単価の増加に繋がり、収益の増加に貢献するという好循環を生み出していくものと確信しています。この人的資本への投資による従業員の満足度の向上と成長こそが、これからの企業成長の源泉であり、今後も人への投資を強化していく考えです。
DXの推進
お客様の利便性向上と従業員の生産性向上のためのDXは継続して推進しています。現金対応のセルフレジは2,400店舗に導入が完了し、約70%のお客様にセルフレジやテーブル決済をご利用いただいています。また、呼び出し表示板を展開し、お客様からの呼び出しや、ご退店後の下げ物の着手から完了までの時間(CU時間)の見える化を図り、お待たせの解消につなげています。
本社におけるDXは「お困り事タスクフォース」として活動を継続しています。生成AIも積極活用してメニューブックのチェックや本部への問い合わせの要約などを含め、2022年の始動から累計300件以上の案件を実現して日常業務の様々な困り事を解決し、生産性向上に寄与しています。
今年の5月にスタートしたすかいらーくポイントプログラムは、アプリのダウンロード数、アプリ会員数、ポイント付与率が順調に増加しています。従業員インセンティブへの活用や、顧客の細分化したニーズを捉えた商品・サービス開発、プロモーションなど、CRM(顧客関係強化)への活用を強化していきます。
ESGの推進
ESGの取り組みは、取締役会による監督のもと、代表取締役社長が委員長を務め代表取締役会長および全執行役員とグループ会社の社長が委員として構成する「サステナビリティ委員会」が中心となり、経営と一体となったESG推進体制を構築しています。
2030年までに環境への負荷を50%(2018年比)まで削減する目標を定め、「脱炭素」「脱プラスチック」「食品ロスの削減」の各分野で、様々な取り組みを進めています。店舗や自社工場への太陽光発電の導入、使い捨てプラスチックの削減、食べ残しの削減など、取り組み毎にKPIを設定して進捗をモニタリングしています。環境関連の積極的なデータ開示や、ESG推進の組織体系の強化など、数々のESGの取り組みが評価され、主要なESGスコアは年々上昇しています。
また、地震や台風などの自然災害時の募金や支援活動、児童養護施設やリトルリーグなどの支援活動をはじめ、地域社会の貢献につながる活動にも積極的に取り組んでいます。
これからも食を提供するレストラン企業としての使命を果たし、地球環境や地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
今後のマーケットの見立て・インフレ対応について
昨今の政治と経済、世界情勢からインフレは今後も進むと見込まれます。物価高についていけない層が増えつつあり、消費の節約志向が広がっています。一方で先にも述べましたが、円安により海外旅行などを控え、身近なレジャーとして外食を楽しむ消費傾向も見られます。メニュー政策においては、お値打ち商品群の充実と、外食ならではの価値を提供する商品群の両輪で、二極化する消費ニーズに応えていきます。
原価高騰に対しては、部門横断の原価低減プロジェクトを継続し、調達先の多様化、生産・物流の一層の効率化、食材・レシピの見直しや食材ロスの削減をさらに進め、原材料費の抑制に努めます。また、客単価を上げられるメニュー施策の強化と、店舗でのサービス・品質を高めてお客様満足度の向上を客単価の上昇に繋げ、収益力の向上を目指してまいります。
ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2024年11月13日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実
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