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トップメッセージ(2025年5月更新)

人的資本の充実=店舗中心経営を軸に
不確実な時代を勝ち抜いて持続的な成長を目指します

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長CEO 谷 真
代表取締役社長COO 金谷 実


日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

5月15日に公表しました2025年度第1四半期決算、及び事業戦略の進捗についてご報告いたします。

メッセージサマリ

  • 2025年1-3月期は好調な決算:店舗中心経営の推進や商品戦略、宅配の伸長、M&Aの効果により、売上高、営業利益、当期利益ともに前年比で増加し、ROEも目標を上回りました。
  • インフレによる消費者の節約志向と高品質志向の二極化が進む事業環境において、超お値打ちと外食体験価値の向上の両立を目指します。
  • 成長の鍵は「人的資本の充実」:コスト削減ではなく付加価値の創造が重要であり、従業員の能力向上による生産性向上が不可欠です。
  • 店舗中心経営(マネージャーの経営力向上、採用・育成・定着の推進、生産性向上の取り組み)により、業績に直結する数字が改善しています。
  • メニュー・プロモーション戦略、店舗リモデルの効果は既存店成長に貢献しています。新規出店は立地を厳選して収益性を重視する方針です。

2025年度第1四半期決算の概要

2025年1-3月期は、売上高1,117億円(前年比+161億円)、営業利益76億円(前年比+15億円)、当期利益44億円(前年比+9億円)となりました。
店舗中心経営の推進、使い勝手の良い商品の導入や価格改定、宅配の伸長により、既存店売上高は前年比109.7%と好調に推移しました。営業利益は、売上成長によってインフレを打ち返し、増益となりました。また、M&A(資さんうどん、マレーシアSuki-ya)は58億円の増収、6億円の増益に貢献しました。ROEは、8.8%と、目標の8%を上回る水準となりました。

事業環境について

世界情勢は急速に変化し、経済環境は不確実性を増しています。米国の関税措置は、景気減速や消費マインドの低下を招く懸念があり、注視が必要です。

依然として続くインフレ傾向により、コスト上昇圧力は今後も強まることが予想されます。直近は、米や卵の価格高騰に直面していますが、当社は慎重に検討を重ねた上で、必要最小限の価格転嫁を実施し、粗利の確保に努めています。

消費動向においては、賃金上昇が物価高騰に追いつかず、将来の不透明感から節約志向が徐々に広がっています。その一方で、限られた予算内で質の高い体験を求める消費意欲も根強く存在します。このような状況に対し、当社は価格以上の価値を感じていただけるメニュー開発と、身近なレジャーとしての外食体験価値を高める商品施策の両面から対応を進めています。

今後、消費者の選択的志向とメリハリ消費はさらに進み、外食産業は「選ばれる企業」となるか、インフレを克服する高い生産性を実現できるかという、淘汰の時代を迎えています。すかいらーくグループは、この激変する事業環境に迅速に対応するため、成長の源泉である人的資本への投資を強化し、生産性向上と付加価値の創造を通じて、持続的な成長を目指していきます。

人的資本の充実=店舗中心経営

少子高齢化が進み内需が減っていく今の時代、利益を出すためにはコスト削減ではなく、付加価値の創造が不可欠となります。そのために、従業員一人一人が能力を高め、生産性を上げることが何より重要だと考えています。生産性とは単に「人」を減らして効率化することではなく、スキルを上げた人財が高いパフォーマンスを発揮することで、商品やサービスなどの付加価値を上げていくことです。そうすることで価格転嫁が可能になり、企業収益が増えることで賃上げに繋がるという経営の好循環が生まれます。

現在進めている「店舗中心経営」は、マネジャーへ権限移譲を行い、業務をサポートするDXを導入し、人財の採用・育成をバックアップすることで、店舗の経営者としての能力を高め、サービス品質の向上と利益向上に主体的に取り組むことを促します。

<店舗中心経営の取り組み>※以下、マネジャ―は店長、クルーはパート・アルバイト 
マネジャーの経営力の醸成:
  • マネジャーの評価制度の改革:「店舗運営利益」と「サービス品質の向上」を重視した評価制度に
  • マネジャーの等級制度の変更:マネジャー自ら主体的に店舗を運営して利益目標を達成することで、その成果に報いる制度に
  • 業績インセンティブ制度導入:営業部ごとに立てた目標利益の達成により追加賞与を営業部に支給することで、主体的な店舗運営とマネジャー同士の連携を強化
  • マネジャーのクルー評価権限の拡大
採用・育成・定着の推進:
  • OJT研修(=実務の業務を通して教える研修)の強化
  • クルー評価制度の見直し:クルーのスキルとモチベーションの向上を促進
  • クルーポイント制度導入:土日や繁忙期に働くパート・アルバイトの確保に大きく貢献
生産性向上:
  • スポットクルー制度導入:急な欠員時の人手確保の悩みを解消
  • スケジュール管理アプリの導入:シフト作成業務を大幅に効率化
  • 店舗労働時間配分の抜本的な見直し
これらの取り組みによって、業績に直結する数字にも効果が表れています。
  • クルーの定着率が向上したことで、在籍人数が増え、新規の採用人数を抑制
  • 在籍期間が長くなることで、オペレーションの習熟度が上がり、生産性も向上
  • 週末や祝日などの繁忙期に売上を最大化するため労働時間を投入し、回転率とサービスの向上に取り組んだ結果、労働時間は増えた一方で、売上拡大により人件費率は下がり、利益率が改善

レストランビジネスは、人が人にサービスする事業モデルで、従業員の能力が上がることで、安定的なサービス・品質の向上をもたらし、顧客満足度の向上に繋がります。安定的な顧客からの支持獲得は、レストランチェーンとしての今後の成長の原動力となるのは間違いありません。

成長の源泉である人への投資を基点に、企業収益の増加に繋げる好循環を生み出していくことで、当社グループの持続的な成長と、日本経済の好循環に貢献していきたいと考えています。

事業戦略の進捗について

既存店の成長

当社の成長戦略の重要な柱となる既存店の成長は、前述の店舗中心経営に加え、マーケティング戦略や店舗リモデルの効果が順調で、中期事業計画の想定を上回る成長率を達成しています

  • メニュー戦略は、メニューミックスとプライシングを駆使して、二極化する消費ニーズに対応する商品投入により、客数と客単価の上昇に貢献しています。
  • ブランド特性に応じたメディアの最適化や重点店舗群向けクーポン配信等の施策により、販促のROIは年々上昇しています。
  • 店舗リモデルは、基準の見直しを実施し、効率的な投資回収を目指す運用へ変更を進めています。

新規出店・海外展開

不透明な経済環境と建設コストの高騰を受け、新規出店は、中期事業計画の目標出店数よりも、立地を厳選して収益性を確保することを優先する方針といたします。

  • 国内は都市部・駅前を中心に投資効果の高い出店のみを進め、売上高・利益率は共に既存店を上回る水準を維持しています。
  • 海外も立地を厳選する方針で、第1四半期は4店舗を出店しました。(台湾3店、マレーシア1店)

M&A

当社グループに加入した「資さんうどん」とマレーシアの「Suki-ya」は、収益に大きく貢献しています。今後も当社ビジネスとシナジー効果の高い案件は積極的に検討を進めていきます。

  • 資さんうどんは4月末までに関東で4店舗オープンし、いずれの店舗も想定以上の売上を上げています。今期はサプライチェーンの整備やオペレーションの準備を固め、2026年以降、全国への出店を加速させていく計画です。
  • Suki-yaはマレーシア国内で70店以上の出店余地があり、将来的にはインドネシアなど広大なムスリム市場への展開を見据えています。

ESGの推進

ESGは成長戦略の基軸と位置づけ、経営と一体となったESG推進体制を構築し、継続して活動を推進しています。第1四半期の主な活動と実績は次の通りです。

  • 脱炭素の一環で、オフサイトPPA方式等による太陽光発電を累計258施設に導入しました。
  • しゃぶ葉の食品ロス削減の取り組み「こまめどりプロジェクト」が消費者志向経営「消費者庁長官表彰」を受賞しました。
  • 国際的な環境NGO「CDP」より、「気候変動」と「水セキュリティ」の2つの分野で最高ランクのA評価を受けました。

これからも食を提供するレストラン企業としての使命を果たし、地球環境や地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。


ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2025年5月15日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長CEO 谷 真 
代表取締役社長COO 金谷 実

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