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トップメッセージ(2024年5月更新)

新しい時代のマーケットに迅速に対応し、
持続的な成長を目指します

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真
代表取締役社長 金谷 実


日頃は格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。

5月15日に公表しました2024年度第1四半期決算、並びに、中期事業計画についてご報告いたします。

第1四半期決算の概要

2024年1-3月期は、売上高956億円(前年比+110億円)、事業利益※64億円(前年比+44億円)、営業利益61億円(前年比+65億円)、当期利益34億円(前年比+41億円)となりました。
外食需要の順調な回復に加え、メニュー戦略、店舗オペレーション、店舗開発戦略、DX推進を中心とした今後の成長に向けた事業基盤が整い、増収増益となりました。売上高・利益ともガイダンスを上回り、好調なスタートを切ることが出来ました。

※事業利益は売上高から売上原価および販売費及び一般管理費を除いた金額

事業基盤と第1四半期の実績

①メニュー戦略

2023年秋のグランドメニュー改定において、ガストを中心とするファミリーダイニングブランドでは、お手頃価格の小皿料理を拡充し、選べるメニューやお得なメニューを充実させ、コストパフォーマンスの良さと選べる楽しさを提供することで、皿数が増え、客単価上昇の効果がありました。
また、ガストではもつ鍋の名店「やまや」監修のガスト初のもつ鍋フェアや人気アニメ「スパイファミリー」とのコラボによるプロモーション企画、バーミヤンでは台湾現地企業とのコラボによるバーミヤン台湾フェアなど、外食体験価値を高めるメニュー・販促を積極的に展開しました。お客様の来店を誘引し、結果として高単価品の販売増と割引率の低下へと繋がり、客数と客単価上昇に寄与しています。

②店舗オペレーションの強化

採用、および教育/トレーニングの強化により、サービスと商品品質の向上に取り組んでいます。採用に関しては、外国人クルーの積極的な雇用も進めています。外国人インストラクターによる集合研修を定期的に開催し、店舗での円滑な受け入れと即戦力化につなげています。また、OJT研修やオンライン研修を充実させ、お客様のお褒めの声は昨年から1.5倍に増加するなど、サービスが向上しています。
来客の多い週末に人員を多く配置することで、回転率を上げて売上と利益の最大化を図っており、その効果も確認しています。

③店舗開発戦略

都市部駅前を中心とした出店戦略を加速させています。今期は4月までに9店舗を新規オープンし、既存店売上比は140%の効果を確認しています。
業態転換は、27店舗実施し、+39%の売上効果がありました。加えて、カニバリ解消効果は+11%となり、転換店舗と近隣店舗のエリア全体の収益増にも貢献しています。
店舗のリモデルは13店舗を実施し+5.9%の客数効果がありました。
店舗の視認性を向上するロードサイドの誘導看板の設置は117店舗まで完了し、+3.1%の客数効果がありました。また、駐車場の看板についても205店舗で変更が完了し、+1.2%の客数効果を確認しています。
「新規出店」、既存店売上に貢献する「業態転換」「店舗リモデル」「誘導看板」「店頭看板」は、いずれも計画を上回る効果を上げています。

④DX推進

お客様の利便性向上と従業員の生産性向上のためのDXは継続して推進しています。現金対応のセルフレジは2,400店舗に導入が完了し、約70%のお客様にセルフレジやテーブル決済を使ってお会計をして頂いています。また、呼び出し表示板を展開し、お客様の呼び出しやご退店後の下げ物に着手する時間が短縮し、お待たせの解消につながりました。本社におけるDXは、生成AIを活用したメニューブックのチェックなど第1四半期は34のDX案件を実現し、生産性向上に寄与しています。
直近のトピックスでは、すかいらーくポイントプログラムを5月16日よりスタートします。すかいらーくアプリを使って当社の全国2,600店舗でポイントを貯めて・使える仕様で、他社のポイントと両方貯められる利点もあります。ポイントプログラムは従業員のインセンティブへの活用や、顧客の細分化したニーズを捉えた商品・サービス開発、プロモーション等にも活用していきます。

ESG取り組み状況

ESGの進捗について、環境関連では、岐阜MDセンターと中部地方3店舗への太陽光発電を3月に導入しました。これにより、年間で612MWhの電力の再エネ化と約280tのCO2削減を見込んでいます。
社会貢献では、1月に発生した能登半島地震の支援として店頭募金を実施し、お客様からお預かりした総額約2千万円を石川県、富山県、新潟県に寄付しました。また、社内ボランティアによる食事支援を3月末まで実施し、石川県、富山県の避難所へ約2万食を提供しました。4月に起きた台湾東部地震では、店頭募金で集まった金額と同額を当社が上乗せして台湾当局に寄付いたします。また、バーミヤンの台湾フェアを6月下旬まで延長し、一部メニューを寄付付き商品として売上の一部を寄付する予定です。
ガバナンスの強化では、役員報酬を従来の外部ESG評価に加えて、「従業員エンゲージメントスコア」、「お客様総合満足度」、「CO2排出量」の目標達成を新たに追加し、役員の関与を一層高めて、ESGの目標達成を図ります。
外部機関からのESG評価は継続して向上しています。国際的な環境非営利団体のCDPから「気候変動」「水セキュリティ」「サプライヤーエンゲージメント」で「A⁻」評価を獲得しました。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する6つの国内ESG指数すべての構成銘柄に選定されました。これは外食企業として初となります。

中期事業計画の策定

この度、中期事業計画として2027年までの財務目標を公表しました。中期事業計画では、「人的資本の充実」「DXの推進」「ESGの推進」を基軸として、「新規出店」「既存店の成長」「海外展開」「M&A」の成長戦略を実行し、持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。

成長戦略について

①新規出店

当社はロードサイド立地を中心に全国に約3,000店舗を展開しています。ここ数年の大型商業施設や駅前立地への新規出店は計画以上の集客を獲得できており、9.7%の店舗数シェアに対して13.4%の営業利益シェアという高い利益貢献を示しています。今後の出店方針は、高度商業集積地、大都市圏の私鉄沿線駅前、地方都市の駅前への出店を加速し、地方中規模都市における複数業態での出店も増やしていきます。
新規出店は国内で1,000店舗以上の出店余力があると試算しており、今後3年間で約300店の新規出店を計画しています

②既存店成長

既存店の成長は、マーケットの変化に合わせた業態転換や店舗リモデルを今後も推進します。
また、メニュー戦略では、幅広い利用動機を獲得し、外食体験価値を上げるメニュー企画やプロモーションを展開し、客数と客単価の向上を追求していきます。インフレ環境に対しては、価値に見合ったプライシングを実行するため、商品とサービス品質向上の取り組みも継続して推進します。
これらの施策の実行により、既存店売上成長は、年平均3~4%を目指します(客数年平均+1%、客単価年平均+2~3%)

③海外展開

現在、台湾に72店舗、マレーシアに4店舗、米国に1店舗展開しています。
台湾は店舗数・売上高を順調に伸ばし、昨年は新工場が稼働し、出店拡大の土台ができました。毎年10店舗のベースの出店を計画中で、2027年までに100店規模の達成を目標としています。
マレーシアは現在クアラルンプールに出店していますが、5号店はそこから少し離れたペナンに出店する予定で、将来的に、インドネシアやフィリピンなど東南アジア他国への進出の足掛かりにしていきます。
米国もオペレーションと収益構造の改善が進み、業績は大変好調です。米国は日本と比べて3倍の客単価と2倍の客数が見込める市場であり、3~5店舗程度で実績を創ることができれば、FCによる急速展開が可能になると考えています。
海外展開は、2027年にかけて約100店舗の新店を計画しています。

④M&A

今後3年間で、M&Aによる事業規模の拡大も本格的に着手します。出店拡大のためのリソースを必要としている既存の飲食店チェーンや、優良なコンセプトをお持ちで事業拡大を検討している外食スタートアップ企業などを対象に、当社のインフラや強みを活用して事業展開を強力にサポートし、Win-Winの関係を構築する方針のもと、積極的に検討を進めていきます。


基軸について

①人的資本の充実

多様な人財が活躍し、従業員の成長とエンゲージメントの向上が企業価値の向上に不可欠であるという考えのもと、人的資本への投資を強化しています。
人への投資を基点として、賃金を上げ、従業員満足度とモチベーションを高めてサービスを向上し、お客様にご満足いただくことで、価格の引き上げが可能になり、企業収益が上がり、さらなる賃上げで従業員に還元するという好循環を構築することが重要だと考えています。従業員のモチベーション向上の一環として、店舗マネジャーに権限を委譲する「店舗中心経営」への体制変革を進めています。
今後、働き手不足の問題がますます深刻化することを見据え、店舗のDXを進めて、オペレーションの負荷を低減し、誰もが働きやすい環境を整備してきました。シニア世代や外国人の雇用促進の他、子育てを終えて正社員として働きたい方のニーズを汲んだ正社員への登用制度や、外国人の正社員への登用をさらに強化するなど、あらゆる手立てで人財の確保に取り組むとともに、多彩な人財が活躍できる環境と人事制度を整備し、ダイバーシティの推進を強化していきます。

②DXの推進

従前より、顧客向け・従業員向けのDXを推進し、配膳ロボット、テーブル端末決済、セルフレジの導入など、お客様の利便性と従業員の生産性の向上を進めてきました。今後は、店舗のバックオフィス業務の効率化、工場システムの高度化(AI/ロボット活用)、従業員コミュニケーションの多言語などユニバーサル化など、バリューチェーンを通じて革新的な生産性向上の実現を目指します。さらに、海外展開・M&Aの加速を促進するためのグローバル・ローカルで活用可能な基幹システムの再構築や現地企業との提携など、グローバルIT基盤の構築も検討します。DX人財の育成も推進し、中長期の成長を見据えたDX投資は今後も継続強化していきます。

③ESGの推進

ESGの推進は重要な経営課題だと捉えています。取締役会による監督のもと、代表取締役社長が委員長を務め代表取締役会長および全執行役員とグループ会社の社長が委員として構成する「サステナビリティ委員会」が中心となり、経営と一体となったESG推進体制を構築しています。
2030年までに環境への負荷を50%(2018年比)まで削減する目標を定め、「脱炭素」「脱プラスチック」「食品ロスの削減」の各分野で、様々な取り組みを進めています。店舗や自社工場への太陽光発電の導入、使い捨てプラスチックの削減、食べ残しの削減など、取り組み毎にKPIを設定して進捗をモニタリングしています。環境関連の積極的なデータ開示や、ESG推進の組織体系の強化など、数々のESGの取り組みが評価され、主要なESGスコアは年々上昇しています。
また、地震など自然災害時の募金や支援活動、児童養護施設やリトルリーグなどの支援活動をはじめ、地域社会の貢献につながる活動にも積極的に取り組んでいます。
これからも食を提供するレストラン企業としての使命を果たし、地球環境や地域社会への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。


中期事業計画の実行においては、当社グループの経営資源と強みを最大限に活用し、外食の価値創造を追求することで目標達成を図り、サステナブルな企業成長を目指してまいります。


ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2024年5月15日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 谷 真 
代表取締役社長 金谷 実

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