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CEOメッセージ_2204

ポストコロナ時代を如何に成長するか

株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長 兼 社長谷 真

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、2021年度は徹底したコスト削減と生産性の改善に努めました。

コロナ禍を経て、人々のライフスタイルと価値観は、大きく変化しています。また、エネルギーコストや食材価格の高騰、人件費の上昇など、コスト環境の悪化に加え、世界情勢が緊迫する中でインフレリスクがさらに増大しています。さらに、日本の経済力の低下に伴い、国民の一人当たりの所得水準が上がらないという構造的な問題が顕在化しました。2025年には全ての団塊世代が後期高齢期を迎えることになり、少子高齢化が進み、就業人口の減少も続きます。外食産業におけるビジネス環境は激変していると言っても過言ではありません。

当社は今後の外部環境についてこのような厳しい認識を持ちつつ、「コロナ後」を見据えた将来の成長に向けた準備を着実に進めてまいります。

コロナ後のフードサービスマーケットの変化に対応します。

日本国内の人口減少は続きますが、女性の社会進出がさらに進むことで共働きの世帯は増加し、世帯収入も増加します。これにより、食の外部化と外食比率の上昇が見込まれることから、外食マーケットは今後も安定して推移していくと見ています。

このような外食市場においてシェアを拡大していくためには、より多くのお客様に支持され、来店頻度が上がり、ロイヤルカスタマーになっていただけるかということが、最も重要な課題となります。レストラン企業としての存続・成長においては、とりわけ「メニュー開発」と「店舗におけるQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)」について、どれだけ「顧客視点」を持ってレストランビジネスの本質を追及し、お客様の信頼を獲得し満足していただけるかが重要です。

コロナ禍を経て“食の多様化”が一層進みました。外食することの「意味」や「価値」は以前にも増して求められ、消費者の外食先の選別はますます厳しいものとなってきています。

従って、当社はコロナ後を見据えたレストランビジネスの根幹を成す3つの基本戦略を、徹底して実行していきます。

1つ目は「商品の味のブラッシュアップ」と「値ごろ感のある価格帯の品揃え強化」の実行です。2つ目は、店舗QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス(店内外装の環境向上))を徹底的に磨き込むこと。3つ目は、DX投資を強力に推進し来るべきコスト上昇に備えることです。

この基本戦略を推進するための財務戦略として、昨年、公募増資により約430億円の資金を調達しました。コロナ禍で外食業界は極めて厳しい事業環境におかれていますが、多くの投資家の皆様に当社の強みと将来の成長性へのご理解と期待を持っていただいたことに大変感謝しています。財務体質の強化とともに将来への成長投資に割り当て、事業成長とバランスの良い株主還元を果たしていく経営に、全力で取り組んでいきます。 

多様化するニーズを捉えるメニュー戦略を展開します。

当社は多彩なジャンルをカバーする20以上のブランドを持ち、幅広い外食動機に対応しています。コロナ後の世界では、「日常使いの外食としてベーシックなニーズに応えて行く業態」と、「豊かな時間を過ごせる体験型の非日常の業態」の2つの利用動機の使い分けが業態ごとに鮮明になると考えています。

<外食動機の使い分けと対応するブランド>

1.日常使いの外食としてベーシックなニーズに応えて行く業態

対象業態:ガスト、バーミヤン、夢庵などが該当します。

ポジション:シニアやファミリーやお一人様を中心に、日常使いで気軽にご利用いただけます。

メニュー戦略:値ごろ感のある価格帯の品揃えの強化、食事を楽しくシェアできる商品ラインナップの充実、お一人様の個食ニーズに対応したメニューと価格戦略、健康や環境に配慮したメニューラインナップなどを展開します。


2. 豊かな時間を過ごせる体験型の非日常の業態

対象業態:むさしの森珈琲、La Ohana(ハワイアン)、しゃぶ葉、ジョナサンなどが該当します。

ポジション:親しい友人グループやカップルやファミリーのお客様を中心に外食の楽しさをご提供します。

メニュー戦略:専門店業態ならではのメニューや付加価値の高い特別感を味わえるメニューラインナップを強化します。

当社の基盤である「3,000店規模のレストランチェーンの購買力」を活かし、今後も価値ある価格帯で豊富なメニューをご提供していきます。さらに新機軸の戦略として、ブランド横断でアルコールラインナップの拡充を進めています。ファミリーレストランでお酒が楽しめるといった新たな利用動機を喚起するメニュー戦略も展開し、新規顧客の獲得も目指していきます。


徹底した顧客目線で店舗営業戦略を進めます。 

当社にとって、これからの厳しい時代を生き抜き、持続可能な成長を遂げていくためには、顧客の信頼を得て支持を拡大していくことが最大の課題であることは間違いありません。常に「顧客視点」を持って仕事にあたることが必要不可欠です。私は従業員とのコミュニケーションやメッセージを発信する様々な機会で、「顧客視点」を持つ重要性を伝えるようにしています。

レストラン企業として、とりわけ毎日お客様に接する店舗における「顧客視点」の表現=QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)を格段に引き上げることが、極めて重要になります。感じが良く親切でホスピタリティに富んだ従業員のサービス、おいしい料理とドリンクが迅速に提供されるオペレーション、清掃が行き届いた清潔な店内、これらを全ての業態で表現し、お客様に「良い店だな」「また来よう」と思っていただける店づくりを目指し、これまでにないアプローチでQSC向上への取り組みを強力に推進します。1店1店がお客様の立場に立ったQSCを実現することでお客様からの支持が増幅し、その積み重ねが会社の成長につながるものと確信しており、決心覚悟を持って取り組んでいきます。 

戦略的な店舗開発とロイヤルカスタマー化のプロモーション戦略を積極的に進めます。 

コロナ禍の2年間は新規出店を抑制していましたが、今年は2023年度に向けた新店の物件開発を再開します。主要都市の駅前立地など今後も高いニーズが見込まれる優良立地を厳選し展開していきます。業態転換としては、「むさしの森珈琲」「ガスト」「バーミヤン」「La Ohana」など、地域のマーケットニーズに最適な業態への転換を進め、地域ごとの外食ポテンシャルを引き上げていきます。また、昨年再開した店舗改装は想定以上の客数効果が得られ、今年度は約360店規模での実施を計画しています。

新規顧客を獲得し、再来店を促し、来店頻度を高め、ロイヤルカスタマー化を後押しするため、チラシやテレビCMSNSなどメディアミックスの最適化により、効果的なプロモーションも展開していきます。  

「お客様の利便性向上」と「全社の生産性向上」に資するDX戦略をさらに加速させます。 

あらゆる業務領域にDXを取り込むことで全社の生産性を飛躍的に向上させ、コストプッシュを打ち返す高収益体質への変革を目指しています。

店舗ではフロアサービスロボット約3,000台の導入、全店におけるPOSの刷新、キャッシュレスレジの導入、進化版デジタルメニューブックへの切り替えが2022年内に完了します。すかいらーくアプリは機能拡張を進めており、テイクアウトに加えて通販のオーダー決済機能を構築しました。また、シニア顧客の優待パスポートの搭載など、アプリ内であらゆるサービスを享受できるワンストップアプリへと進化させ、お客様の利便性向上を図ります。 

 

すかいらーくグループにおけるDX推進
すかいらーくレストランツにおけるDX推進
DXを実現するための現場オペレーションの実践について

新規事業と海外展開は事業規模を一歩一歩拡げ、新たな売上を積み上げていきます。 

新規事業として、自社ブランドの人気商品の販売に注力しています。通信販売では、楽天・アマゾンを通じての販売に加え、2022年3月より自社アプリでの販売を開始しました。また外交販売では、スーパー・小売り量販店を中心に卸販売のチャネル・取引数量を拡大しています。

海外展開についても順調に取り組んでおり、現在台湾に68店舗、マレーシアに2店舗、米国1店舗を出店しています。現地のお客様ニーズへのきめ細やかな対応により顧客支持を獲得し、将来の事業拡大に向けた地盤をしっかり固めていきます。 

経営陣の積極的な関与によりESGを強力に推進しています。 

すかいらーくグループは、創業以来「価値ある豊かさの創造」を経営理念に掲げ、人々の生活がより豊かになるよう「食」を通じた社会貢献をめざしています。2021年、当社グループのパーパス(存在意義)を「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する」、長期ビジョンを「一人ひとりの豊かな生活の実現、豊かな社会づくりへの貢献、環境への配慮」と定め、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していく決意を新たにしました。

2020年に設置したグループサステナビリティ委員会は私自身が委員長に就任しました。また、全ての執行役員は委員として参画しており、経営と一体となった推進体制のもと、地球環境保全をはじめとしたESGの取り組みは大きく前進しています。世界規模で気候変動に対する危機感が高まる中、CO2排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を設定し、中長期2030年の目標を2018年比25%から50%削減に引き上げました。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明するとともに外食企業として初めてTCFDコンソーシアムへの加盟も果たしました。また、外食産業において大きな課題である食品ロス削減やプラスチック使用量削減に対する取り組みも進めています。健康経営の推進、女性管理職比率の引き上げ、経営の健全性、効率性および透明性を確保するためのコーポレートガバナンスの取り組みも一層強化していきます。

今後も経営と一体となったESGの取り組みを推進し、企業価値の向上を目指すとともに持続可能な社会の実現に貢献していきます。

レストランとしての使命を果たします。  

「手軽にお腹を満たしたい」「家族や親しい友人と食事をしながら楽しい時間を過ごしたい」といった人々の本質的な欲求はいつの時代もこれからもなくなることはありません。日本全国に約3,000店舗を展開するすかいらーくグループは、1店1店が地域のお客様に支持され、暮らしの隅々にわたる「食」のサービスを通じて地域の皆様の豊かな暮らしに貢献し、レストランとしての使命を果たしてまいります。 

 

2022年4月11日
株式会社すかいらーくホールディングス
代表取締役会長兼社長 谷 真