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リスクマネジメント

事業等のリスク

すかいらーくグループの事業内容、経営成績および財政状態等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、主として以下のものがあります。なお、下記の文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。下記事項は当社グループが事業を継続する上で、予想されるリスクを具体的に提示したものであり、これらに限定するものではありません。

株主・投資家情報(IR)「事業等のリスク」

リスクマップ

事業や業界に固有の要因を考慮しながら、事業を取り巻くリスクを特定・評価し、その状況を定期的に見直すリスクレビューを実施しています。
当社では、リスクの潜在的な大きさと実現可能性を評価し、当社への影響を明確にするため、リスクマップを作成し、公表しております。

エマージングリスク

外部環境の変化により将来すかいらーくグループの事業に大きな影響を与える可能性のある重要な長期的 (3 ~ 5 年以上) な新たなリスクを次のとおりエマージングリスクとし、グループサステナビリティ委員会を中心とした推進体制に基づき、定期的にモニタリングするとともに、適切な対応を迅速に講じることができる体制の構築と、その対策について適宜審議・レビューしています。

水リスク 人口増加と気候変動による水不足は、発生頻度は低いものの影響度が非常に高いリスクとして、外食産業である当社グループの事業継続を脅かす深刻な問題です。特に、以下の具体的な影響を認識しており、喫緊の課題として捉えています。
  • 食材調達コストの上昇と競争力への影響: 当社グループが提供する多様なメニューを支える主要な農産物(例:米、野菜類)や畜産物(例:鶏肉、豚肉)は、その生産過程で多大な水資源を必要とします。水不足の深刻化は、これらの原料の主要生産地における収穫量の不安定化や品質低下を招き、調達価格の長期的な高騰を不可避とします。特に、特定の地域に依存する高品質な食材については、代替調達が困難となるリスクも考慮しています。これにより、原材料コストが増加し、メニュー価格への転嫁が難しい場合、当社グループの収益性を圧迫し、価格競争力を低下させる可能性があります。また、食材の安定供給が滞ることで、店舗でのメニュー提供に支障が生じ、お客様への満足度低下にも繋がりかねません。
  • サプライチェーン全体のレジリエンス低下とブランドイメージへの影響: 当社グループのサプライチェーンは、国内外の多くのサプライヤーと連携しています。これらのサプライヤーが所在する地域での水不足や、水資源に関する規制強化は、サプライヤーの生産活動に直接的な制約を与え、結果として当社グループへの食材供給の遅延や停止を引き起こす可能性があります。このようなサプライチェーン全体での水資源問題は、単に調達リスクを高めるだけでなく、お客様や投資家、地域社会からの当社グループに対する社会的責任や環境配慮への評価に影響を与え、ブランドイメージの低下を招きかねません。特に、環境意識の高い消費者層からの支持を得る上で、水資源への取り組みは極めて重要であると認識しています。
  • 店舗運営への制約と将来の投資判断への影響: 国内および海外の事業展開地域において、水資源のひっ迫は、地方自治体等による水使用制限や排水規制の強化に繋がる可能性があります。例えば、特定の地域では、飲食店に対する水使用量の具体的な上限設定や、排水処理基準の厳格化が行われる可能性も否定できません。このような規制強化は、既存店舗における厨房設備や食器洗浄機などの水使用量の多い設備の改修・更新費用を増加させるだけでなく、新規店舗の出店計画において、水供給インフラや排水処理能力を考慮した立地選定の制約となる可能性があります。これにより、事業拡大戦略に影響を与え、将来的な投資判断の遅延や再評価を余儀なくされる可能性があり、当社グループの成長戦略に直接的な影響を及ぼすと認識しております。
これらは当社グループのビジネスの持続性に影響を及ぼすエマージングリスクの1つと認識しており、当社は、これら水リスクへの対策として、2030年に取水量を10%削減、2050年に20%削減(2018年比)を設定し、以下の施策に取り組んでいます。
  • 店舗への節水型器具の導入: 高効率な食器洗浄機、節水型蛇口、トイレなどの導入を全店舗で推進し、日常的な水使用量の削減に努めています。
  • 全従業員一丸となった節水活動と意識啓発: 店舗および本社オフィスにおいて、手洗いや清掃時における節水の徹底、水漏れの早期発見・修理など、全従業員が主体的に節水活動に取り組んでいます。また、社内報で節水に関する記事を定期的に掲載し、水資源の重要性や節水の具体的な方法について従業員の意識啓発を継続的に行っています。
  • サプライチェーンにおける責任ある水資源管理の推進: 取引先へはCSRガイドラインに基づいたCSR調査を継続的に実施し、水資源管理を含む環境負荷低減への取り組み状況を確認・指導することで、サプライチェーン全体での持続可能な水利用を推進しています。
当社グループは、これらの取り組みを通じて水リスクへのレジリエンスを強化し、持続可能な事業運営と企業価値の向上に努めてまいります。
森林関連リスク 国際的には、森林の違法伐採が重要な課題と認識され、関係法令や規制の強化が進められています。その中で、森林関連リスクは、発生頻度は低いものの影響度が中程度リスクとして、当社グループのビジネスの持続性に影響を及ぼすエマージングリスクの1つと認識しております。具体的には、以下の点で事業に影響を及ぼす可能性があります。
  • 食材・資材調達の困難化とコスト増加: 森林保護に伴う調達基準の厳格化は、コーヒー豆やパーム油、あるいは持続可能な森林認証のない紙製容器やカトラリーなど、森林由来の食材や資材の調達を困難にし、コストを増加させる可能性があります。
  • ブランドイメージの低下: 誤って違法伐採の木材や、それらに由来する食材・資材を取り扱った場合は、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが著しく低下する可能性があります。
リスク発生の回避・軽減に向けて、当社グループは持続可能な森林からの木材調達を推進するため、マテリアリティKPIにFSC/PEFC認証品比率を設定し、切り替えるなどの取り組みを進めています。
大気、土壌汚染リスク 大気・土壌汚染による法規制強化は、発生頻度は低いものの影響度が非常に高いリスクとして、当社のレストラン事業の持続可能性を脅かす深刻なリスクです。例えば、近年、国内外で強化が進む土壌汚染対策法や排水規制の厳格化、またはPFAS(有機フッ素化合物)のような有害物質に関する規制導入の動きにより、主要食材の生産地における汚染問題が発生した場合、特定の食材の調達が困難になれば、メニュー構成の変更を余儀なくされ、顧客満足度の低下やブランドイメージの損失に繋がります。代替食材の調達コストの上昇は、利益率低下を招き、サプライチェーン全体の信頼性低下により、新規取引先の開拓が困難になる可能性も考えられます。さらに、主要取引先の工場が操業停止となった場合、安定的な食材供給が途絶え、売上減少に直結するだけでなく、経営の安定性をも揺るがす事態に発展する可能性もあるため、当社グループのビジネスの持続性に影響を及ぼすエマージングリスクの1つと認識しております。これらのリスクへの対策として、適切な排水や法令に則った有害物質の管理を行い、店舗や工場での汚染防止に努めているとともに、取引先へはCSRガイドラインをもとにしたCSR調査の指導に取り組んでいます。

リスクマネジメント体制

基本的な考え方

企業価値の保全を目的として「グループリスク管理規程」を制定し、リスクへの対応プロセスを定めています。リスク管理にあたっては、多様なリスクを俯瞰し、対処すべきリスクを特定したうえで、その顕在化を予防しています。また、リスクが実際に発生した場合には、迅速かつ的確に対応することにより被害を最小限にくい止めるとともに、対応結果の評価を行い、再発防止がなされていることを確認したうえで完了宣言をします。

事業遂行に関わる重要なリスクと対応

食品事故の発生

細菌やウイルスによる食中毒だけでなく、異物混入、食物アレルギーによる食品事故や誤表記が発生しないように、食材の調達から加工・流通・調理・提供に至るすべての工程で予見されるさまざまなリスクに対して、品質・衛生管理・法令順守に関する基準を設け、徹底した管理を行うことを基本方針としています。

対策1. セントラルキッチンにおける従業員の手洗いと体調管理の徹底

社内で検証した最も効果的な手洗いをルール化し、徹底することにより、手に付いたウイルスや細菌が施設に持ち込まれないようにしています。手洗いは24時間監視を行い、徹底されるように指導をしています。

対策2. 品質管理グループによる衛生指導と定期的な社内細菌検査

安全な商品が提供できるようISO22000の管理手法を基盤に工程設計を行い、各工程の運用状況を確認します。自社セントラルキッチン内にある8カ所の衛生検査室で原材料からセントラルキッチンでの加工、店舗の管理状況を抜き打ちでモニタリングし指導を行います。

対策3. ノロウイルスの予防と拡大防止の徹底

多くの方が利用するトイレやキッチンは毎日定期的に消毒を実施しています。また従業員が体調不良の場合は、ノロウイルス検査を会社費用で実施し高感度検査で陰性が確認できた場合のみ出勤可能としています。

労務関連

雇用形態が多様化した現代では、従業員を取り巻く環境も大きく変化しており、長期にわたって優秀な人財を雇用し続けるためには、継続的な労働条件の適正化が欠かせません。すかいらーくは、すべての従業員が健康で生き生きと働けるように、労務管理体制の強化や職場環境の整備などの働き方改革を進めています。

対策1. 労務管理体制強化への取り組み

労務管理体制の強化策として、各労務会議には経営トップが出席し、状況の把握および改善の徹底を行っています。また、労働組合からの定期的なレビューや改善提案を反映させて実行していく仕組みを構築しています。
各階層別の研修を継続的に実施して、従業員のスキルアップと満足度の向上を図ることで、定着率および労務環境の改善につなげています。

対策2. ワーク・ライフ・バランスの充実に向けた休日取得の取り組み

ワーク・ライフ・バランスの充実を図る目的で、年間休日数を108日から117日に増やしました。あわせて、半期に一度の5連休取得を2日増やして7連休とし、年次有給休暇の計画的な取得と併せて推進しています。また、働き方改革の一環として、2020年1月に全店で24時間営業の廃止、同年7月には原則23時30分閉店として深夜営業時間を短縮しました。安定して長く働くことのできる職場づくりを目指しています。

リスク管理指標を組み込んだインセンティブ

また主要リスク関連目標の達成は、当社の取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く)の業績連動報酬(ファントムストック)にも組み込まれております。

(リスク)気候変動 →(指標)CO₂排出量の削減
(リスク)消費者の嗜好の変化 →(指標)お客様総合満足度の向上
(リスク)労務管理 →(指標)従業員エンゲージメントの向上

リスクマネジメント体制

グループ全体のリスクマネジメントを統括する組織として、取締役会監督のもと、代表取締役社長COOを委員長、代表取締役会長CEOおよび全執行役員を委員とする「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会では、さまざまなリスクを一元的に洗い出し、リスクの潜在的な大きさと実現可能性などを勘案して対処すべきリスク31種類を特定(2025年3月時点)するとともに、特定されたそれぞれのリスクごとに、リスク許容度、リスクに対しての責任部門を定め、適切な予防・対応措置を講じています。
なお、リスクの潜在的な大きさと実現可能性は環境変化に応じて年1回見直しを行い、リスクの特定、評価、管理などに関する方法やそのプロセスについては年1回、内部監査がその適正性をチェックしております。
2024年はグループリスク・コンプライアンス委員会を計11回開催し、グループ内で発生した緊急事態に関するレビューを行いました。委員会での審議内容は、社外役員へも情報共有されており、リスクマネジメント体制の透明性確保に努めています。また、社外役員を同委員会のアドバイザリーとしており、社外の視点での指摘やアドバイスを受ける体制としています。

対処すべきリスクのなかでも、自然災害、感染症、食品事故などの重大な事案については、会社の総力を挙げて取り組むべき問題として、「グループ緊急事態対応規程」内の「緊急事態ガイドライン」で定義しています。そのうえで、緊急事態の通報内容が速やかに経営陣および社内関連部門に共有されるよう、「緊急事態連絡ルート」「経営陣への報告ルール」等を設定し、具体的な報告基準や手順の社内周知を徹底しています。
また、社外役員への情報共有に関するルールを定め、重要なリスク案件及び緊急事態案件とその対応状況について、情報提供の充実を図っています。また、「グループ事業継続計画規程」を策定し、緊急事態における当社グループの対応体制と初動対応の詳細ならびに業務の優先順位を明確にしています。

グループ事業継続計画規程の5方針

  1. 人命最優先に行動する
  2. 二次災害を防ぐ
  3. 営業、商品、生産、購買、事業インフラを所管する各部門が密接に協力し「五位一体」となって地域社会・官公庁と連携して行動する
  4. 緊急事態の性質に応じて権限移譲する
  5. 緊急事態解除後は対応を総括し再発防止をする

これまでにも、自然災害や感染症発症時には、グループ事業継続計画規程に基づき、対策本部を設置し、すべての情報を対策本部に集中し、対策本部にて適時適切な方針決定を行い、全店舗への情報発信を行うことで、迅速かつ適切な緊急事態対応を行っています。

内部通報制度

当社グループでは、お客様、投資家、社会等のステークホルダーに対して不利益をもたらす法令違反行為や不正行為の早期発見と是正、再発防止等を目的として、社外専門会社を窓口とする「すかいらーくグループ内部通報窓口」を設置し、国内の当社グループ全役職員および取引先からの内部通報を受け付けています。受け付けた内部通報は、直接、社外役員や常勤監査等委員に共有されるほか、定期的に取締役に運用状況の報告および役職員に開示する等社内規程に従った運用を行っています。

通報・相談の対象者

  • 当社グループの従業員(正社員、契約社員、嘱託社員、クルー)、役員及びその家族
  • 当社グループ元従業員
  • 当社グループの取引先の従業員及び役員

匿名での通報、守秘義務

外部受付窓口は独立した第三者機関に設置されています。匿名での報告が可能であり、報告は機密として扱われます。
通報者・ご相談のプライバシーを厳守し、第三者に開示、漏えいすることはありません。

不利益な取扱い、報復の禁止

通報・相談者がこの通報・相談窓口を利用することによる不利益な取り扱いを関係会社から受けることはありません。

周知方法・トレーニング

従業員窓口については、毎月掲示ポスターとして店舗へ配信しており、積極的に周知を図っております。また会議体を通じて、手順等のトレーニングを行っております。

通報・相談の方法

対象 名称 窓口 受付 受付内容
従業員
従業員の家族
退職者
ハラスメント相談窓口 外部 電話
WEB
ハラスメント全般
内部通報相談窓口 不正、法令違反等に関する内部通報
健康相談窓口 健康・カウンセリング等
従業員相談窓口 社内 電話  ハラスメント全般
次世代育成相談窓口 子育て、育児休業等の相談
グローバル人財相談窓口 外国籍従業員の日常生活・仕事・ 雇用に関する不安や悩みの相談
お客様 お客様相談窓口 社内 電話
WEB
お客様からの相談全般
お取引先様 お取引先様専用内部通報窓口 外部 電話 お取引先からの相談全般

※健康相談窓口の電話・WEB受付、その他相談窓口のWEB受付は24時間365日利用が可能です。
※海外子会社については、現地の言語で対応できる社内窓口を設置しています。

お取引先様専用の通報、相談は外部の第三者機関「ダイヤル・サービス株式会社」で受け付けております。

受付時間 平日:12時00分~21時00分
土曜・日曜・祝日:9時00分~17時00分 ※12月29日~1月4日を除く
お取引様専用 電話番号 TEL:0120-330-280
  • ※ 弊社のお取引様専用の電話番号です。
    お客様からのお問い合わせは、お客様相談室:0120-125-807(9時00分~18時00分)にお願い申し上げます。