店舗力こそが成長の源泉
2026年3月に代表取締役社長COOに就任いたしました。私は学生時代のアルバイトから、新卒で当社グループに入社後も一貫してキャリアの大半を営業で歩んできました。アルバイトから営業本部のトップまであらゆる視点を実体験として積み上げてきたことは、私の経営における最大の強みだと考えています。各層の立場を深く理解しているからこそ、全従業員と同じ目線で本質的な課題を捉え、迅速かつ実効性の高い経営判断に繋がるものだと考えています。
直近の4年間は、台湾すかいらーくの社長として事業成長を牽引しました。コロナ禍で大変厳しい業績の中での就任でしたが、メニュー数を半減させるなど思い切った改革を実行し、収益を立て直しました。コロナ後の需要回復を見据え、新規出店の準備と、「武蔵野森珈琲」など新たなブランドの展開を進め、成長への布石を打ちました。また、現地の飲食店では一般的でない「キッチンとホールの兼務体制」の導入にも踏み切りました。当初は強い反発もありましたが、給与水準の引き上げや、幹部スタッフを日本に招いて実際の運営を体験していただくなど、丁寧に粘り強く説得し、結果として店舗全体の品質と生産性を高めることができました。
私の仕事のスタイルは、「現地・現物・現場」が基本です。店舗に足を運び、従業員のリアルな声や意見に耳を傾け、共に改善を積み重ねて目標を達成する。この現場基点のスタンスは、社長という立場になっても変わることはありません。店舗運営力を高めることが、当社グループの成長の原動力だと考えています。
インフレ加速を見据えた、原価低減対策と新たな収益改善プロジェクトを始動
中東情勢の悪化に伴い、今後さらなるコスト増加が予想されます。裾野の広い原油価格の高騰は、食材費だけでなく、エネルギーコスト、包材・建築資材コストにいたるまで、当社ビジネスにおいても大きなコスト負担となる喫緊の課題です。この状況に対処すべく、従前より実施している購買・生産物流・商品開発・営業の部門横断による原価低減活動をさらに強化してまいります。また、私自身がオーナーとなり、収益改善に向けた新たなプロジェクトを始動させました。具体的には、メニューの最適化による生産性の改善や、低収益店舗の抜本的な改革など、全社生産性の向上によって収益基盤を再構築いたします。短期的には今期の業績目標を達成することを目指しつつ、中長期的には収益基盤の飛躍的な向上を目指していきます。同時に、消費の二極化を捉えたメニュー戦略やIPコラボ販促、SNSを駆使したデジタルプロモーションを推進し、持続的な売上成長を図ってまいります。
店舗中心経営をさらに進化させ、既存店の強さを引き出し、成長を牽引する
社長COOとしてもう1つの重要な使命は、当社の成長戦略の要である既存店の成長を牽引することです。その基盤となるのは、店舗運営力の強化に他なりません。当社は店舗中心経営にシフトし、権限委譲や、インセンティブ制度の導入、教育研修の充実、人事制度改革を実行してきています。これらを通じて店舗マネジャーのモチベーションを向上させ、経営者としての視点を高めることで、「店舗運営品質の向上」を実現し「顧客満足度を向上」させ、「客数と客単価の増加」へと繋がる好循環を目指しています。
実際に、お客様からお褒めの声は増えており、顧客満足度を測るNPSスコアも向上しています。お褒め件数が多い店舗ほど客数前年比も高くなるという明確な相関も出ており、戦略の正しさを確信しています。また、パートアルバイトの定着率の向上や、売上高と店舗事業利益の拡大といった業績向上にも貢献していますので、ホスピタリティをさらに向上させるための取り組みを強化してまいります。
現在、店舗では様々なDXツールが導入され、オペレーションは効率化し、従業員の負荷は減って便利になりました。その一方で、お客様との直接的な接点が減っていることも事実です。レストランビジネスの原点は「人が人にサービスすること」にあります。お客様の「体験価値の向上」がますます重要になる今、私たちはもう一度この原点に立ち返る必要があると考えています。
だからこそ、私は時間が許す限り店舗に赴くことを大事にしています。従業員と直接対話し、店舗で何が起こっているのか自ら把握した上で、経営の立場で迅速に判断し、現場目線で改善を重ねていく。ここを徹することで、一店一店の店舗力の底上げを図ります。そして、すべての店舗が「お客様の体験価値」を高め、選ばれ続けることで、それぞれの地域になくてはならない存在へと進化することを目指します。

業績目標へのコミットメントと将来の展望
先にも述べましたが、喫緊の課題は、インフレ加速が見込まれる環境下において、今期の業績目標を達成することであり、原価低減対策と収益改善プロジェクトをしっかりとリードしてまいります。同時に店舗中心経営をさらに前進させ、店舗の運営品質と既存店の成長力を引き出し、グループ全体の持続的な収益成長を実現させていきます。
将来的には、すかいらーくグループの豊かな食体験を広く世界の皆様にお届けしたいと考えています。台湾での経験から、当社の強固な経営基盤を活用しつつ、現地のニーズを精緻に捉えたブランドやメニューを展開することで、海外での勝機は極めて大きいと確信しています。国内においても既存店の成長を軸としつつ、立地を厳選した戦略的な出店と地域ごとのストアポートフォリオを加速させることで、市場シェアを拡大していきます。
不透明さが増す事業環境ですが、いかなる局面においても強さを発揮できる組織体制を構築し、国内市場でのさらなる成長と海外市場の開拓を先頭に立って牽引し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
今後も当社グループにご期待いただき、変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。